2025年7月に大災害が起きるって予言を聞いたことあるけど、本当かなあ…大地震?津波?それとも隕石衝突!?
たつき諒さんの描いた「私が見た未来」のことでしょう?
たしかに話題になっているようですね。
2025年6月25日追記
女性漫画家・たつき諒さんが今月出版した著書『天使の遺言』で、「7月5日」という具体的な日付は「何かが起きる日ではない」と発言し、これまでの予言内容を一部軌道修正しました(出典:産経新聞)。
本記事では、この情報も踏まえたうえで、予言を不安に思う方へ向けて「本当に必要な備えとは何か?」を、防災士の立場からわかりやすく解説しています。
はじめに--2025年7月5日に何かが起こる??
「次々に予言を的中させてきた」と評判の漫画家・たつき諒さんの「私の見た未来」が話題になっています。こうした終末論的な”予言”は定期的に現れては人々を不安にさせます。
今回の”予言”はどういったもので、そしてそれは的中するのでしょうか。
さらに、私たちはその”災難”?”災害”?にどう備えたら良いのでしょうか。
先に結論を言うと、地震は現代の科学では予知不可能。だから予言はデマ。ただし、予知不可能だからこそ日頃から備えておくことが重要。
一方、隕石の衝突は予測可能で、今のところ地球付近に衝突しそうな小惑星などは存在ません。
たつき諒氏の予知夢の信憑性-”予言”の内容
まずは改めて今話題になっている”予言”を整理してみましょう。
発端は、たつき諒氏が見た夢の内容を漫画化した「私が見た未来」(朝日ソノラマ・1999年)です。
本書の表紙には「大災害は2011年3月」と描かれていたことで、「東日本大震災の発生を予言した」と注目を集めました。ただし、この部分は表紙のみに描かれていますが、本編では触れられていません。
そして2021年、飛鳥新社からその復刻版として「私が見た未来・完全版」が出版されました。その中で
・本当の大災難は2025年7月にやってくる
・日本とフィリピンの中間地点の海底で何かが破裂し、大津波が発生する
という予知夢を紹介しています。そして同書のあとがきでは
夢を見た日が現実化する日ならば、次にくる大災難の日は『2025年7月5日』ということになります
と具体的な日付を特定しています。その日が近づくに連れ、Xなどで盛んに話題になっているのです。
ただ、これだけでは具体的にどんな災害なのかは分かりませんが、仮にこれを地震か、隕石の衝突として考察を進めてみましょう。
気象庁の見解(地震発生)
地震に関して言えば、気象庁は現在の技術では地震予知ができないことを認めていて、HPでは次のように述べています:
日時と場所を特定した地震を予知する情報はデマと考えられます。お聞きになった情報で心配される必要はありませんが、日本は地震国であり、地震が起こらない場所はないと言っても過言ではありません。日ごろから地震に対する備えをお願いいたします。
気象庁 地震予知について
更にこれに加え、気象庁長官は6月13日の定例記者会見で、予言について次のように述べました:
現在の科学的知見では、日時と場所、大きさを特定した地震予知は不可能。そのような予知の情報はデマと考えられる。
気象庁長官「7月に大地震」はデマ 根拠がない情報「信じる人がいて残念」会見で強調
JAXAの見解(隕石衝突)
JAXA宇宙研究所所長は隕石の衝突について明確に否定しています。
今年7月5日に地球に衝突する天体は、世界的に見ても確認されていません!
落下した隕石によって大惨事になるという予言には、科学的な根拠は全くありません!
…これが結論だね
なので過度に心配する必要はないけど、災害への備えは常に行っておくべきだよね
当たった”予言”、外れた”予言”
一般的な話として、”予言”には”当たった”と言われるものと”外れた”ものがあります。
当たったといわれる”予言”

たつき諒氏の漫画がそうだというわけではありませんが、多くの”予言”は意味が幅広く捉えられるよう抽象的な表現が多く、”当たった”とされるのは、発生した後で、その「玉虫色な表現」を「解釈」したらその事象に合致した、というものばかりです。例えば、ノストラダムスの予言などはその筆頭です。
私も予言します。
日本国内できっと何らかの災害が、今年か来年、あるいは再来年、またはもう少し先に発生するでしょう。この予言はきっと的中しますよ。
もちろん、世の中には外れた”予言”もたくさんあります。”当たれ”ば注目を浴びますが、元々見向きもされなかった”予言”が外れても誰も何も思いません。そうした”ハズレ予言”は表に出てこないだけでおそらく無数にあるはずです。
一方、そんな中にも盛大に滑った有名な”予言”もありました。
盛大に滑った”予言”

ノストラダムスの「1999年人類滅亡」
- 予言内容:1999年7の月に空から恐怖の大王が降ってきて世界が滅びる。
- 実際:何も起こらず、1999年は無事に終わった。
- 背景:日本では五島勉の著書『ノストラダムスの大予言』シリーズがベストセラーになり、広く信じられていた。
2012年マヤ暦の世界滅亡
- 予言内容:マヤ暦が2012年12月21日で終わっている → そこが世界の終わり。
- 実際:世界は滅びず、マヤ文明の「暦の一区切り」に過ぎなかったと解釈されて終息。
- 注目点:ハリウッド映画『2012』なども公開され、一大ブームに。
ヘヴンズ・ゲート事件(1997年)
- 予言内容:彗星の後ろに宇宙船があり、そこに乗るためには「魂を解放」する必要がある。
- 実際:指導者の教えに従い、信者39人が集団自殺。もちろん宇宙船など来なかった。
- 背景:アメリカのカルト宗教が引き起こした悲劇的な事件。
ハロルド・キャンピングの終末予言(2011年5月21日)
- 予言内容:聖書を独自解釈し、「2011年5月21日にキリストが再臨し、世界が終わる」と宣言。
- 実際:何も起きず、本人は「計算ミスだった」として10月21日に再予言 → これも外れる。
- 結果:信者の一部は生活費を使い果たし、人生を狂わされた例も。
Y2K(2000年問題)による世界的混乱
- 予言内容:西暦が2000年になるとコンピュータが誤作動し、飛行機が落ちる・原発が暴走するなどの大混乱。
- 実際:大きな問題はほとんど起きず、事前の対応が奏功した面もある。
- 背景:「予言」というより「懸念」だが、多くの終末論者が便乗した。
人はなぜ終末予言を信じたがるのか

これまで、世界滅亡の終末論は無数に予言されてきましたが、ご存知のようにまだ世界はちゃんと活動しています。あなたもちゃんと生きています。
いわば、人類はこうした“終末の予言”にずっと惹かれてきたわけです。
古いもので言えば、キリスト教やユダヤ教では2000年以上前から「最後の審判」や「世界の終わり」が語られてきました。
無数の「外れ実績」を知っていながらも、こうした終末予言に耳を傾けてしまうのは、どういうことでしょうか。
それは私たちが「不安」にカタチを与えたいからではないでしょうか。それはつまり次のようなことではないかと考えられます:
日常からの脱出願望
災厄は恐ろしいけど、平凡な毎日を一変させる“ドラマ”でもあります。どこかで非日常を望んでいるのかもしれません。
選ばれし者でありたい
「予言を知っている自分は、目覚めた者だ」と思いたい人間の承認欲求の現れだと考えられます。
死を支配したい本能
死は避けられません。ならば「来るとわかっていれば、準備できる」という心理で、死をコントロールしているかのように見せかけたい、というか自分をそのように思い込ませたいのでしょう。
結論
漫画の予言が的中するか外れるかは、誰にも確たることは言えません。
なぜなら「予言は当たらない」と言ったらそれは「地震が発生しない」と予言したことになってしまうからです。
一つはっきり言えることは、我が国は地震大国ですからもともと大地震はいつ発生してもおかしくないのです。何しろ、政府の地震調査委員会は、南海トラフの巨大地震が今後30年以内に起きる確率を80%程度と見積もっています。
だから7月に大地震が発生するかも知れませんし、予言よりもずっと早く、明日にも、いやこれを読んでいる最中に大地震が来るかも知れません。
ということは、その日がいつ来ても大丈夫なように準備しておくほかないと思います。
何のことはない、普通の防災の考え方じゃないの、それ?
はい、そうです!
今回の予言が不安なら、これを災害に備えるためのきっかけと前向きに捉えて、しっかり備えましょう!
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