防災の基本

「大雨警報」はたくさん雨が降るお知らせじゃない-本当の意味、知っていますか?

H30年豪雨災害_江田島市

誤解されやすい「大雨警報」

大雨警報ってさ、散々降ったあとに発令されるよね。
いっつも「何を今更」って思うんだけど、あれは何の役に立つの?

大雨警報は「これから大雨が降りますよ」という予報ではありません。
「大雨によって、土砂災害や浸水害などの災害が発生するおそれが高まっている」ことを警告する情報です。

え!どういうこと!?

本記事では、「大雨警報」の本来の意味と調べ方、そして発令時の対応について解説しますね。できるだけ簡単にするので本当にザックリとしたイメージで捉えてもらえばと思います。ではどうぞ!

「大雨警報」の目的

「大雨警報」の目的は、「雨が降る警報」ではなく「雨が降ったことによって発生するかも知れない土砂災害や浸水害を警告するための警報」です。

知らんかった~
たしかに、雨に当たったくらいで怪我したり死んだりしないものね
だから雨そのものを警告しても意味がないってことか

そういうことです。
散々降ってから発令するのは、「散々降ったからそろそろ危ないよ」という趣旨なのです。
空模様というより主として地面の話です。

そんなわけで、雨がやんでも警報が解除されず継続する場合があります。
例えば地盤が緩んだままで、引き続き土砂災害のリスクが残っているときなどです。

じゃあ、大雨は予報しないの?

もちろんしますよ。
警報級の大雨のおそれ」という言い方で予報しています。予め災害への備えを促しているのですね。予報と警報は別です。

今どこで警報が出てる?すぐ確認するならココ

じゃあ、今自分の住んでる地域はどうなんだろう?

そう思ったあなたへ、今まさに出ている警報・注意報を確認できる公式サイトはこちら。

気象庁のホームページ

🔗 気象警報・注意報

気象庁「警報・注意報」ページ

サイトの見方

  1. 上の画面で地図上の地点をクリックします
  2. 市町村ごとの警報・注意報が色分けされて表示されます(下図)
  3. 発表時刻や対象地域、警報の種類(大雨・洪水など)が確認できます
自治体ごとの警報・注意報が色分けされて表示される

色の意味(目安):

  • 🟡黄色=注意報(気をつけて)
  • 🔴赤色=警報(避難準備や高齢者避難を考える段階)
  • 🟣紫色=特別警報(命を守る行動を即実行)

外出先でも確認しやすいように、スマホのブックマーク登録もおすすめです。

大雨警報は「高齢者等避難」レベル

警報は、避難のタイミングにも関わっています。
気象庁が発表する警報・注意報は、政府が定める「警戒レベル」にも対応しており、
大雨警報は「警戒レベル3」=高齢者等避難に相当します。

この段階で、特に高齢者や体の不自由な方、小さな子どもがいる家庭などは避難を始めることが推奨されています。

🔗 気象庁|警戒レベル解説

注意報・警報・特別警報の違いをざっくりと

大まかに言うと次のとおりです:

区分レベル感覚状況取るべき行動
注意報「そろそろ警戒を」災害の可能性があるニュースや自治体の情報に注目
警報「すでに危ない」災害が起こるおそれが高くなっている高齢者などは避難を開始
特別警報「命の危険あり」過去に例のない災害級の大雨命を守る行動をただちに

注意報は「様子見」、警報は「準備と避難を」、特別警報は「即行動を」と覚えておくと便利です。

土砂災害警戒情報って何?─本当に危ないサインはこれ

「大雨警報が出たけど、さらに激しく雨が降り続いてるよ…大丈夫かな」
そんなときにチェックしたいのが、土砂災害警戒情報です。

土砂災害警戒情報とは?

  • 都道府県と気象庁が共同で発表
  • 土砂災害の危険性が高まった市町村に出される
  • 警報よりも一歩踏み込んだ、避難判断に直結する情報

「キキクル(危険度分布)」も使える!

🔗キキクル

出典:気象庁気象防災HP キキクル画面より引用

地図上で色を見るだけで、土砂災害や浸水の危険度が一目でわかります。
警戒レベルと避難行動の関係は次のとおりです:

あわせて読みたい:
▶️自宅の危険度をチェック!水害から命を守る第一歩

警報が出たとき、自分はどうすればいい?

ハザードマップを事前に確認

  • 自宅が土砂災害警戒区域や浸水想定区域に入っていないか?
  • 入っていれば、警報=避難の合図と考えて備える

これは重ねるハザードマップを使えば、スマホやパソコンからすぐに調べられます。

国土地理院「重ねるハザードマップ」
洪水、土砂災害リスクは一目で確認可能

高齢者・子どもがいる家庭は即行動を

  • 警報=「高齢者等避難」のタイミング
  • 非常持ち出し、避難ルート、誰が誰を連れていくかの確認

雨がやんでも油断しない

  • 地盤はまだ緩んでいる可能性大
  • 警報解除までは警戒を続けること

避難は「段階的」でOK

  • 避難所だけでなく、知人宅・安全な2階への在宅避難も選択肢
  • 「逃げるべきか?」ではなく「どう逃げるか?」の視点を持つ

まとめ:「大雨警報=行動のサイン」─名前に惑わされないで

大雨警報は「たくさん雨が降る予報」ではありません。
すでに災害が起こるおそれが高まっている状況を伝える、行動のサインです。

情報の意味を知っているだけで、避難の遅れを防ぎ、命を守る力になります。
気象庁のページやキキクルを今のうちにブックマークしておき、いざというときに迷わず動けるようにしておきましょう。

🔗 お役立ちリンク一覧:
▶️気象警報・注意報
▶️キキクル(危険度分布)
▶️気象庁|警戒レベル解説

🔗 あわせて読みたい:
▶️自宅の危険度をチェック!水害から命を守る第一歩
▶️線状降水帯って何?ニュースでよく聞く“危険な雨”をイメージでわかりやすく解説

ABOUT ME
もげら47
自衛隊で大型輸送ヘリの機長として15年勤務。震災や林野火災など多数の災害派遣に出動。|その後、消防防災航空隊に転職し、消防防災ヘリの機長として10年以上にわたり山岳救助や空中消火活動に従事。|次いで2年間、地方自治体の防災課で防災関連の事務事業を推進するなど、防災一筋の人生。|現在はこうした経験を活かし、防災士ブロガーとして防災関連の情報を発信しています。|【保有資格】防災士・事業用操縦士(回転翼機+飛行機)・航空無線通信士・乙種第4類危険物取扱者・他| 🐾 記事に登場する「わからんこ」や「ちびもげら」って誰? ▶️キャラクター紹介はこちら
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