どうも!Mogera47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と災害対策一筋でやってきた防災士です。
なお、本記事には広告を含んでおります。それではごゆっくりと最後までご覧ください。
災害時、トイレが使えないという現実
「防災備蓄」といえば、保存水や防災食料品を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、実際にはトイレのほうが早く問題になるのはご存知でしょうか。
大きな地震で水道が止まればトイレは使えなくなりますし、排水管が壊れれば、無理に水を流すと大惨事を引き起こすこともあります。
食べるのは我慢できてもトイレは我慢出来ません。
この記事では、災害時に真っ先に困ることになる「トイレ問題」について、普段から備えておくべきことについて解説します。
家庭での災害対応の前提
本記事では地震によってトイレが使えなくなることを想定していますが、自宅に異常がなく生活可能と判断されれば避難所に行く必要はありません。そのまま自宅で生活を続けることになります。「災害=避難所」ではありません。
なお、避難所に行けばトイレも食料も準備されていると思ってはいけません。
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こうした場合の備えとしてトイレ問題を考えておきましょう。
「災害でトイレが使えなくなる理由」と「現実的な対策」を知ろう
大きな地震があると、断水してトイレが流せなくなることがあります。それは上水道に何らかの不具合が発生するからです。しかし上水道が出ないだけならまだ幸運です。
水が手に入る限り、バケツなどで水を流しこめばトイレは流れてくれるのですから。
深刻なのは、排水管や下水管が破損している場合です。

たとえば、地盤沈下や液状化現象によって排水管が破損したり逆勾配が発生するといったダメージを受けることがありますし、また、下水処理場や浄化槽が機能を停止することもありえます。
排水管や下水管がダメージを受けるとどうなるか
この状況で水を流してはいけません。
戸建て住宅の場合で排水管や下水管が破損した状態で汚水を流すと、途中で汚水が漏れ出てしまうか、どこかで詰まって、やがて便器やその他の排水口から汚水が溢れてくるかも知れません。


集合住宅では排水管が詰まると、階下のトイレから汚物が逆流してあふれることがあります。
2016年の熊本地震ではこうしたことが実際に発生しています。それこそ大惨事ですよね。
トイレにまつわる問題点はこちらのページがわかりやすくてお勧めです。
国土交通省 災害時のトイレ、どうする?
というわけで、大きな地震が発生した後は、安全が確認されるまでは下水を流すのは控えましょう。
「安全が確認されるまで」?誰がどうやって判断するの?
専門業者の確認が必要です。集合住宅であれば管理組合などに確認しましょう。
集合住宅にはそうした場合のマニュアルを作成しているケースもあるので、確認してみるとよいでしょう。
トイレが流せなければどうする?
そんなときに使うのは、便器に取り付けて使う非常用トイレです。
これも災害備蓄として今のうちに準備しておきましょう。
災害が発生してから買いに走るわけにはいきません。
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非常用トイレの使い方
- 便器に大きめのゴミ袋を被せて便座をおろします。
汚物袋が濡れるのを防ぐことが出来るので衛生的です。このゴミ袋は非常用トイレを使用する間は被せたままにしておきます。 - その上に汚物袋を被せます。
- 用を足したらそこへ凝固剤をふりかけます。
製品によっては先に凝固剤を入れておくものもあります。 - 汚物袋を取り出し、口を縛ります。
この時、袋の中の空気をしっかり抜くのがポイントです。ゴミの体積を減らし、かつ中の臭いが漏れ出てくることを防ぎます。

いくつ準備しておけば良い??
経済産業省などは、1人の1日当たりの平均排せつ回数を5回とし、できれば1週間分の備えを推奨しています。
トイレ備蓄 忘れていませんか?(令和5年11月13日更新)(PDF形式:1,670KB)
例えば、1日に5回行く人であれば、5回×7日=35回分です。
ただし、もし下水が損傷を受けた場合、復旧までの期間は状況によって大きく変わるため、1週間では不足するかも知れません。下表は、最近の主な災害における下水の復旧期間です。

被害範囲が大きくなればその分復旧に期間を要するのはご想像のとおりです。
トイレットペーパーも忘れずに備蓄
当たり前ですが意外と忘れがちなのがトイレットペーパー。
こういう物資は災害が発生するとまっさきに売り切れます。
その時になって慌てないで済むよう、普段から切らさないように準備しておいてください。
また、発災後に買いだめに走るのは混乱の原因になるので、控えましょう。
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溜まっていく汚物の保管場所
非常用トイレを使う場合、汚物が手元に溜まっていくことを計算に入れなくてはなりません。
ごみの日に出せばいいじゃない?
ごみ収集が正常に行われるとは限らないよね
例えば焼却施設が被害を受けたり、道路が破損することでゴミ収集ができないこともあります。
ごみ収集ができなければ、排泄物だけではなく普段と同様の生活ゴミも自宅に保管しなくてはなりません。
室内にそれだけのスペースがあればまだ良いですが、そうでない場合は、集合住宅であればベランダに、戸建て住宅なら庭に保管することになるかもしれません。
しかし、カラスや野生動物が荒らしに来ることも想定しなくてはならないので、中身が見えないように不透明で、かつ臭いが出ないよう密封性の良い袋を使用することが重要です。
非常用トイレは自分で作れる???
ネットの記事では、ポリエチレンの袋やレジ袋と新聞紙で非常用トイレを手作りする方法が紹介されている場合がありますが、飽くまでも最後の手段と捉えてください。
レジ袋などは小さな穴が空いていることがあるし、新聞紙は吸水性が悪いので漏れ出てくることがあります。
そういうゴミを長期間保管しておかなくてはならないとすればどうでしょうか。
災害後、断水している状況で住環境を汚した場合は清掃が大変です。
ここは専用の商品を用意しておくことを心からおすすめします。
こうした商品の凝固剤には防臭成分や抗菌成分が含まれている場合もあるのでより衛生的ですし、密封性の高い防臭袋は普通のゴミ袋と違ってしっかりとニオイを防いでくれます。
手作りの非常用トイレは、市販の非常用トイレの備蓄が付きたなど、本当にどうしようもなくなった場合の緊急用です。
ポータブルトイレとかダンボールトイレって使えるの?
「災害 トイレ」で検索すると必ず登場する「ポータブルトイレ」や「ダンボールトイレ」。

言わば大人用の「おまる」です。
どういった状況で使うのでしょうか。
これは災害時に役に立つのでしょうか。
ポータブルトイレなどは、たとえば車中泊や避難所などで一時的にトイレを設置する場合に使うものです。
在宅避難をする場合は既存の便器を使い、非常用トイレを活用するので基本的には不要と考えます。特に集合住宅で使用する場面は無いと思われます。
しかしながら、もし戸建て住宅にお住いの方で裏庭に穴を掘ってその中に用を足すという場合は、ポータブルトイレではなく底に穴の空いた簡易トイレを設置して目隠しにトイレテントを設置すれば「非常用トイレ」の出来上がりです。
容量の問題はあるかも知れませんが、これなら非常用トイレのように汚物を溜め込む必要もありません。使い方によっては十分役に立ちます。
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自宅のトイレ・便器が壊れて使えなかったらポータブルトイレの出番では?
トイレが破壊されるような状況では、家屋の他の部分に大きなダメージが発生していると思われます。ということはその場所で過ごすのは危険ですから、立ち退き避難した方が安全です。
避難についてはこちらをご覧ください:
▶️あなたの避難計画、本当に大丈夫?知らないと危険!防災のプロが教える避難の基本
まとめ:正しい備えが安心につながる
在宅避難こそ「トイレ問題」を軽視せず、発災後すぐに、必ず必要になる備えとして準備しておきましょう。
「本当に必要な備えを揃えて、災害時も安心を。」
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