日頃の備え

自宅の危険度をチェック!水害から命を守る第一歩

どうも!もげら47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と防災一筋でやってきた防災士です。

はじめに:なぜ今「水害対策」なのか?

最近の雨って、降れば土砂降りだし、梅雨時になると毎年どこかで洪水や土砂崩れが発生してない??

ほんと、ニュースで「◯◯川が氾濫危険水位に」なんて言葉を聞く機会も増えたね。

もしあなたが「自宅が浸水したらどうしよう」「避難ってどうすればいいの?」と感じ始めたなら、それはとても大切な“気づき”です。

この記事では、防災についてちょっと興味を持ってみたあなたが
「家族を守るために、まず何から始めればいいのか?」
が分かるように易しく解説します。
難しい専門用語や小難しい文章は一切なし。
一緒に、防災の「最初の一歩」を踏み出しましょう。

最近の水害・土砂災害の実例から学ぶ

「でもうちは内陸だから水害なんて関係ないでしょ?」
…と思っていた場所が、実は被害を受けている現実をご存じですか?
表は、過去5年間に発生したた水害をまとめたものです。

過去5年間に発生したた水害をまとめ

最近ではこうした災害は、珍しいことではありません。次は「あなたの住む地域」で起きるかもしれないのです。

まずは自分の地域の危険度を知ろう

重ねるハザードマップを使って確認

災害対策の第一歩は、「自分の家がどれくらい危ない場所にあるか」を知ることです。

  • うちは山の近くだから土砂災害?
  • 近くに川はないけど、下水があふれる可能性は?

実はこれ、重ねるハザードマップを使えば、スマホやパソコンからすぐに調べられます。

国土地理院「重ねるハザードマップ」
洪水、土砂災害リスクは一目で確認可能
国土地理院「重ねるハザードマップ」より引用 洪水・土砂災害リスクが一目で確認可能

国土地理院「重ねるハザードマップ」の使い方

重ねるハザードマップ」は、自宅の住所を入力するだけで、洪水土砂災害高潮など、複数のハザード情報を一括で確認できる便利なツールです。

こんな感じで使うよ!

  1. 画面右上の「住所検索」で自宅の住所を入力
  2. 地図上に自宅が表示されたら、左側の「洪水」「土砂災害」などの項目をクリック
  3. 該当するハザードが色付きで表示され、危険度を確認

ハザードマップはここを見よう!

  1. 自宅はハザードエリアに入っているか?
  2. 通勤・通学路に土砂災害警戒区域があるか?
  3. 最寄りの避難所が浸水想定区域に入っていないか?

地図を見るだけでも、「ここにはこんな危険があるのか」ということが分かりますね。

自宅だけでなく、親戚の家も確認してみましょう。
さて、ハザードマップで危険度がわかったら、次はリアルタイムでの危険情報を確認してみましょう。

危険の“今”がひと目でわかる「キキクル」を活用しよう

キキクルって名前、なんだか可愛い響きですが…
正式名称は「危険度分布」。気象庁が出している、今どこで土砂災害洪水浸水の危険があるのかを地図で教えてくれる重要な情報です。

自治体は、このキキクルの情報を元に避難情報を発出します。

下のキャプチャー画像は、2024年7月15日の土砂キキクルの様子です。一部分、紫色に染まっている地域がありますが、ここは土砂災害の危険度が警戒レベル4相当の「危険」であると判定されたところです。

土砂キキクル
気象庁 キキクルより

キキクルで分かる3つのリスク

キキクルで見ることのできる危険度は、次の3つです。それぞれ表示されるリスクが異なります。自分が今いる地域によって、注目すべきリスクを選択します。例えば、崖の近くであれば「土砂キキクル」、低い土地であれば「浸水キキクル」や「洪水キキクル」といった具合です。

キキクルの種類

洪水キキクルは、次のような画面イメージです。

洪水キキクル

このように河川に紫色の表示が出たところは、「警戒レベル4」に達しており「危険」と判定されているので、避難の必要があるかも知れない、と判断します。

色でわかる危険度

土砂災害キキクルの危険度はこのような色分けで区別されます。
キキクルの色は警戒レベルごとの避難行動に合わせて視覚的に示しています。

土砂キキクルの危険度の色分け
気象庁 キキクル 凡例より

洪水キキクルでは、リスクの度合いに応じて次のような色分けがされます。
こちらも、警戒レベルの色は同じです。

洪水キキクルの色分け
気象庁 キキクル 凡例より

紫は避難!黒は命を守る行動を!

キキクルを確認し、家の近くが紫に染まっていたら、既に危険が差し迫っているサインです。こうなると、通常は行政から避難指示が発令されますが、テレビやSNSよりも“先に”この情報をチェックして準備し、自ら避難の判断をすることが大切です。

さらに、お住いの地域が黒になっていたら、それは既に災害が発生している可能性を示しています。直ちに安全確保、命を守る行動を取ってください
これは闇雲に外に飛び出せば良いというわけではありません。

あわせて読みたい
▶️あなたの避難計画、本当に大丈夫?知らないと危険!防災のプロが教える避難の基本
▶️もう迷わない!避難に最適な非常用持出袋はこう備えよう

川の様子は「見に行かずに」チェック!

「川の様子を見に行った人が行方不明」というニュースを、何度も聞いたことがあると思います。毎年のように繰り返される悲劇ですね。

川を見に行く理由は人それぞれですが、まさかそれが命取りになるとは思っていなかったでしょう。水害が発生しつつある時に川に近づくのは本当に危険。
そこで活用したいのが、ライブカメラです。

河川のライブ映像を自宅でチェック

▶️国交省川の防災情報
▶️一般財団法人河川情報センター 川の水位情報

全国の主要河川に設置されたライブカメラの映像を、自宅で安全に見ることができます。

ライブカメラを活用しよう
河川ライブカメラを使えば増水の状況を自宅から確認できる

また、水位グラフと過去映像の比較で、増水傾向も知ることができますから、「川の水位、ちょっと高くなってきたかな?」と気づけます。

情報収集のコツと避難の判断

雨が降り続いたり、警報が出たとき、何を見ればいいのか迷ってしまう人は多いです。
情報が多すぎてパニックになる前に、「見る場所」と「見る順番」を決めておきましょう。

基本はこの3ステップ!

ステップ① テレビ、ラジオで情報収集

上場収集の基本です。停電しても情報収集ができるよう、電池式のラジオを準備しておくと良いです。

ステップ② 雨の強さ・動きを見る

気象庁「雨雲の動き」

雨雲の動きで、今まさに降っている雨の強さや範囲をリアルタイムで確認しましょう。
色の濃い部分は強い雨が降っているところです。

気象庁 雨雲の動き

これは文字通り「雨雲の動き」なので、これからどれくらい降るのか、いつごろ降り止むのか、が判断できますし、強い雨が連続して降っているところは地盤が弱くなっていることが想像できます。

気象庁「今後の雨」

今後の雨を見れば数時間先までの降雨量が予測できます。
ただし、この「今後の雨」は、元々は過去1時間の降水量を調べるために表示するものですが、予想表示機能があってそっちの方が便利なため、このように呼ばれます。

気象庁今後の雨

長く雨が降り続けばそれだけ地盤も緩んできますし、川の水位も上がってきます。都市部では降り続いた雨の排水が追いつかず、道路が冠水したりアンダーパスが浸水することもあります。

ステップ③ キキクルで危険度を確認(=どこが危ないのか)

キキクルで、今、どこで土砂災害・浸水・洪水の危険があるか地図でチェックできます。

土砂キキクル

下のキャプチャー画像は、ステップ②と同時刻の土砂キキクルです。これは土砂災害のリスクの高まりを表しており、激しい雨が降り続いている湯河原町付近が「警戒」の赤に染まっていることが分かります。

土砂キキクル

もしこのまま同じ地域に降り続けば、この後危険度が上がっていき、赤→紫→黒と変化していくので、推移を見守りながら避難開始の判断に役立てます。

浸水キキクル

同時刻の「浸水キキクル」です。南伊豆町が「警戒」の赤に染まっています。

浸水キキクル

「浸水キキクル」は、河川の氾濫ではなく、内水氾濫(下水道などで排水しきれないほどの雨が降った場合に発生する浸水)の危険度を示しています。

洪水キキクル

同時刻の洪水キキクルです。南伊豆町の一部の河川では紫の「危険」が表示されました。

洪水キキクル

基本的には避難すべきですが、先に述べた「今後の雨」も見比べてその要否を判断しましょう。

で、いつ避難するの?

基本的には、上に述べたようにキキクルなどを使って自ら判断しますが、気象庁や自治体が発表する「警戒レベル」を目安にすると判断しやすくなります。

警戒レベルは色分けにより、住民が取るべき避難行動が段階的に示される

お住まいの市町村の発信する情報(Xやホームページ)にも注目するとともに、防災行政無線による一斉放送にも注意しておきましょう。

防災行政無線による一斉放送を聞き逃さないようにしましょう

あわせて読みたい:
▶️あなたの避難計画、本当に大丈夫?知らないと危険!防災のプロが教える避難の基本
▶️もう迷わない!避難に最適な非常用持出袋はこう備えよう

まとめ:命を守る行動のために

水害は、「気づいたときには手遅れ」になりやすい災害です。
でも、情報を正しく使えば、備えて避難する時間はしっかりあります。

この記事で紹介したポイントをぜひ覚えておいてくださいね:

  1. 自宅の危険度を「重ねるハザードマップ」で確認
  2. 危険の現在地は「キキクル」でチェック
  3. 川に近づかない。水位が気になったら「ライブカメラ」で見る
  4. 降水量や今後の雨の降り方は気象庁の「雨雲の動き」「今後の雨」で把握
  5. 避難判断は「警戒レベル」で迷わずに!

家族と一緒に確認して、「避難のタイミング」「行き先」「連絡方法」も話し合っておきましょう。
この記事が、あなたとご家族の命を守る一助になれば嬉しいです。

ABOUT ME
もげら47
自衛隊で大型輸送ヘリの機長として15年勤務。震災や林野火災など多数の災害派遣に出動。|その後、消防防災航空隊に転職し、消防防災ヘリの機長として10年以上にわたり山岳救助や空中消火活動に従事。|次いで2年間、地方自治体の防災課で防災関連の事務事業を推進するなど、防災一筋の人生。|現在はこうした経験を活かし、防災士ブロガーとして防災関連の情報を発信しています。|【保有資格】防災士・事業用操縦士(回転翼機+飛行機)・航空無線通信士・乙種第4類危険物取扱者・他| 🐾 記事に登場する「わからんこ」や「ちびもげら」って誰? ▶️キャラクター紹介はこちら
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