災害発生の仕組み

線状降水帯って何?ニュースでよく聞く“危険な雨”をイメージでわかりやすく解説

どうも!もげら47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と防災一筋でやってきた防災士です。

最近の天気予報やニュースで、「線状降水帯」という言葉をよく耳にするけど、あれ何なの?

よくわからないままなんとなく聞き流している人、多いのでは?

実はその現象、命にかかわる大雨災害の引き金になることがあります。
ちゃんと理解しておきましょうね。

この記事では、専門的な用語はなるべく使わずに、線状降水帯がどんなものかをイメージで理解できるように解説します。
最後まで読めば、自分や家族の命を守るために、何を見て・どう行動すればよいかがわかります。

なぜ「線状降水帯」が話題になっているの?

線状降水帯」は2021年から気象庁が情報発表を始めたことで、急に注目されるようになりました。

それまでも大雨による災害はたびたび発生していましたが、その多くにこの線状降水帯が関係していることがわかってきたのです。
こうした背景から、ニュースや自治体の防災情報でも頻繁に取り上げられるようになりました。

たとえば、ニュース番組でも線状降水帯の発生が予想される場合は事前に注意を呼びかけています。災害につながる雨であることを、視覚的にわかりやすく伝えてくれる報道は、とても大切な情報源です。

ニュース番組でも線状降水帯の発生が予想される場合は事前に注意を呼びかけています。災害につながる雨であることを、視覚的にわかりやすく伝えてくれる報道は、とても大切な情報源です
出典:NHK総合「大分局 昼のニュース」2025年6月10日放送より
※画面は著作権法第32条に基づき引用

線状降水帯とは?

発達した雨雲が同じ地域に次々にやってくる!

線状降水帯とは、次々に発生する発達した雨雲(積乱雲)が、同じ場所に列をなしてかかり続ける現象です。

もし自分の住む地域の上空に入れ代わり立ち代わり発達した雨雲がやってきたら――その場に強い雨がずっと降り続けることになります。

この現象によって、1時間に100ミリを超えるような激しい雨が、何時間も続くことがあります。

どうやってできるの?

線状降水帯は、次のような気象条件が重なったときに発生しやすくなります:

  • 湿った空気が継続して流れ込む
  • 山や地形にぶつかってその空気が上昇し、雨雲が発達する
  • 発達した雨雲が「列」をなして次々と発生する
線状降水帯は、こうして発生します:湿った空気が継続して流れ込む→山や地形にぶつかってその空気が上昇し、雨雲が発達する→発達した雨雲が「列」をなして次々と発生する

つまり、「雨を作る材料」と「雨雲を押し流す風の流れ」によって、同じ場所に雨が集中するのです。

なぜ危険なのか?

線状降水帯によってもたらされるのは、同じ地域における長時間に及ぶ非常に激しい雨です。

こうした雨がもたらす主なリスクは次の通りです:

  • 河川の急激な増水・氾濫
  • 土砂災害(崖崩れや土石流)
  • 都市部での内水氾濫(道路冠水や床上浸水)

水害で特に問題なのは、「気づいたときにはすでに手遅れ」になりやすいこと。
実際、過去の災害でも「まさかここまで降るとは思わなかった」という声が多く聞かれました。

だから、大雨が予想されるときはテレビ・ラジオでも盛んに「最新の情報に警戒してください」と繰り返し伝えていますね。

どこで確認すればいい?気象庁の情報をチェック

線状降水帯のリスクは、気象庁の公式サイトでリアルタイムに確認することができます

1.雨雲の動き(レーダー・ナウキャスト)

リアルタイムで雨雲の様子を確認できます。
「線状降水帯」の解析情報が出ている場合は、強い警戒が必要です。
下のキャプチャー画面は、2024年9月21日の能登半島に発生した線状降水帯の様子です。

2024年9月21日の能登半島に発生した線状降水帯の様子
出典:気象庁(https://www.jma.go.jp/jp/radnowc/)

右上の黄色で囲ったところにあるボタン(下はその部分の拡大図)を押すと、線状降水帯の現在時刻の解析と、10~30分後の解析を表示させることができます。

2.キキクル(危険度分布)

土砂災害・浸水・洪水の3つの危険を、色分けで視覚的に表示してくれます。
色が「紫」になっていたら、すぐに避難の準備をしてください。
下の画像は、キキクル表示例です。

キキクルの画面
紫色に表示されたところは土砂災害の危険が迫っていることを意味するので、速やかな避難が必要。
出典:気象庁(https://www.jma.go.jp/bosai/nowc/#type=ksn)

キキクルなどの見方は、次の記事を参考してください:
▶️自宅の危険度をチェック!水害から命を守る第一歩

✅ ポイント:

雨雲の動き+キキクルの色の変化をセットで見ることで、自分の地域のリスクを素早く把握できます。

過去にはどんな被害があったの?

線状降水帯が原因とされる災害は、近年だけでも多くの被害を出しています。
代表的な事例をいくつか紹介します:

  • 2020年7月 熊本豪雨(球磨川氾濫)
     → 多数の家屋浸水・高齢者施設で犠牲者
  • 2021年7月 静岡県熱海市の土石流
     → 逗留していた住民が巻き込まれ、多数の死傷者
  • 2022年8月 東北地方の記録的豪雨(山形・新潟など)
     → 広範囲にわたって河川氾濫、鉄道やインフラも被害

まとめ:怖がるよりも、知って備える

線状降水帯という言葉は、ちょっと難しそうに聞こえるかもしれません。
でも、内容を知れば知るほど、これは誰にとっても身近な危険であることがわかります。

こうした気象に関する知見は、これまで発生してきた多くの自然災害から私たちを守るためのもの。ここに至るまで、人類は本当に大きな犠牲を払ってきました。

大切なことは、自分と大切な家族の命を守るために普段から情報を確認する習慣をつけること。特に水害は、早めに避難するかどうかの判断が、命を守る大きな分かれ道になります。

この記事が、あなたとご家族の命を守る一助になれば嬉しいです。

あわせて読みたい:
▶️自宅の危険度をチェック!水害から命を守る第一歩
▶️あなたの避難計画、本当に大丈夫?知らないと危険!防災のプロが教える避難の基本

ABOUT ME
もげら47
自衛隊で大型輸送ヘリの機長として15年勤務。その間、震災や林野火災など数多くの災害派遣に出動。その後消防防災航空隊に転職し、消防防災ヘリの機長として、10年以上にわたり山岳救助、空中消火活動などに従事。 次いで2年間地方自治体の防災課で防災関連の事務事業を推進するなど、防災一筋の人生。 現在はこうした経験を活かし、防災士ブロガーとして防災関連の情報を発信しています。 【保有資格】 ・防災士 ・事業用操縦士(回転翼機+飛行機) ・航空無線通信士 ・乙種第4類危険物取扱者 ・他
RELATED POST