日頃の備え

停電に備えるには?今すぐできる“常識的な備え”と意外な落とし穴

どうも!もげら47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と防災一筋でやってきた防災士です。

停電は「誰にでも起こる災害」――実例に学ぶ備えの重要性

私たちはつい「電気はいつもあるもの」と思いがちですが、大きな地震や台風、落雷などで電力が長時間停止することは、決して珍しくありません。

実際に、日本各地で次のような大規模停電が発生しています。

● 2018年 北海道胆振東部地震

出典:札幌市 平成30年北海道胆振東部地震~震災を忘れない~
  • 発生日:2018年9月6日
  • 停電戸数:約295万戸(北海道全域)
  • 復旧までの時間:一部地域で1週間以上かかりました
    → 電力の供給バランスが崩れ、全道でブラックアウトが発生

● 2019年 台風15号(関東地方)

  • 発生日:2019年9月9日
  • 停電戸数:約93万戸(主に千葉県)
  • 復旧までの時間:10日以上停電が続いた地域も
    → 電柱の倒壊や倒木で復旧が遅れ、都市部でも長期停電に

● 2022年 福島県沖地震

  • 発生日:2022年3月16日
  • 停電戸数:約210万戸(首都圏含む)
  • 復旧までの時間:数時間〜翌日までの地域も
    → 東京23区の一部でも停電し、都市機能が一時混乱

こうした実例を見てもわかるように、「大きな災害があれば、停電は十分に起こりうる」ことがわかります。
では、どう備えればよいのでしょうか?

停電にどう備える?フェーズ別に対策を考える

停電への備えは、「いつ・何を」すればよいかを整理しておくことが大切です。
ここでは、日頃の備え・停電発生時の行動・復旧時の注意点の3段階に分けてご紹介します。

【日頃の備え】停電前に準備しておきたいもの

日常生活の中で、これだけは準備しておきたい基本アイテムです。
特別な道具ではなく、どれも身近なものばかりですが、あるかないかで停電時の対応は大きく変わります。
ポイントは、最も深刻な状況、例えば真夏の1週間以上の停電を想定することです。

LEDライト or ランタン

LEDライトは寝室とリビングにおいておくと良いでしょう。
また、次の防災ラジオには多くの場合LEDライトが装備されていることが多いので、一つ準備しておくとよいでしょう。

携帯用防災ラジオ(情報収集のため)

防災ラジオには多くの場合LEDライトが装備されていることが多い

テレビは使えなくなるので、情報収集には携帯ラジオが欠かせません。
防災ラジオ」は手回し式の発電機、LEDライト、サイレン、充電用USBポートが装備されたものが数多く販売されているので、一つ持っておけば安心です。

なお、携帯ワンセグテレビという方法もあります。

情報収集はスマホで十分じゃないの?radikoもあるし。

災害が発生するとネット回線が混雑したり、基地局も(バックアップ電源がなくなると)停電するので、スマホはネットに繋がらなくなることがあります。
一方、ラジオはこうした心配がないので、スマホとは別に準備しておくことを強くお勧めします。

ラジオもテレビも、自動車についてるじゃん

確かにそうです。
でも手元にラジオがなければ自動車に行かないと視聴できない、ともいえるので、やはりラジオくらいは手元にあった方が安心で便利です。

乾電池・モバイルバッテリー・ソーラー充電器

停電が長期化すると、スマホの電池が寂しくなってきます。
充電式のモバイルバッテリーよりも電池式の方が便利かもしれません。

停電が長期化すると、スマホの電池が寂しくなってきます。
充電式のモバイルバッテリーよりも電池式の方が便利かもしれません。
先に述べた防災ラジオで充電する方法もあります。
ただし、とても時間がかかるのであくまでも「非常用」と心得たほうが良いでしょう。

スマホなら車でも充電できるじゃない

もちろんそういう方法もあるね。
けれども災害時はガソリンが調達しにくくなるから、スマホを充電するためだけに車のエンジンを発電機代わりに使うのはもったいないと思うよ。
だから自動車を使う「ついで」に充電するのであれば良い方法、一石二鳥だ。

なお、ポータブル電源を備えておくという方法もあります:
▶️災害に備えよう!停電対策完全ガイド ポータブル電源は役に立つのか!?

カセットコンロ+ガスカートリッジ

オール電化のご家庭ではIHクッキングヒーターが使用できなくなるため、調理器具のバックアップに一つ備えておくとよいでしょう。

ガスカートリッジとセットで備えておきましょう。
ご飯を炊くときはこちらを参照してください:
▶️災害時に炊飯器を使わずご飯を炊く!キャンプでも使える超簡単な炊飯方法

飲料水

停電が大規模になると、浄水施設が機能を停止し断水する場合があります。飲料水は災害対策としてどのみち必要となるので、停電に関わらず準備しておきましょう。

広域で停電すると、浄水施設が機能を停止することにより断水することがあるので、飲料水を準備しておきましょう

具体的な備蓄量は、こちらの記事をご覧ください:
▶️【災害時の水の備蓄】どれくらい必要?人数別・日数別にわかりやすく解説!

非常食

食事は、(機能を停止した)冷蔵庫に入っている生鮮食品から優先的に消費していきます。
しかし停電中は地域のお店も一緒に停電していて食料品の調達もままならないでしょうから、冷蔵庫内の食料品の消費後を考慮して非常食を備えておくことが重要です。

非常食も、停電に関わらず災害対策として必要になるので、停電用と分けるのではなく普段から備蓄しておきましょう。詳しくはこちら:
▶️その備蓄で大丈夫?今すぐ始めるべき正しい災害備蓄の方法

冷凍庫に保冷剤を入れておく

普段から保冷剤をいくつか冷凍庫に入れておきます。この保冷剤は停電したとき冷蔵庫に移します。
冷蔵庫はクーラーボックスのように保冷機能を有しているため、ドアの開閉を控えれば、中身はある程度は保冷されます。

ウェットティッシュ・非常用トイレなどの衛生グッズ

先に述べたように、停電→断水によって、入浴もできなくなることがあります。
長期保存に向いたウェットティッシュを準備しておくとよいでしょう。

停電→断水によって、入浴ができなくなります。

トイレが流せなくなることも想定し、非常用トイレを準備しておきます。

トイレが流せなくなることも想定し、非常用トイレを準備しておきます。

あわせて読みたい:
▶️災害時のトイレ問題を完全解決!在宅避難で困らないための備えとは?

冷暖房が使えない状況への備え

最近はエアコンが無いととても耐えきれない暑さの日もあります。そんなときに停電した場合の影響は深刻です。おすすめは、普段からPETボトルに水を入れて凍らせておくこと。
暑くてたまらないときはこれを使って体を冷やしたり、ボトル内の冷たい水を飲んで熱中症を予防します。

一方、寒い時期は石油ファンヒーターが使えなくなります。
そこで、電気を使わない石油ストーブがあると安心でしょう。
これなら、湯を沸かしたりすることも出来るので災害に強いと言えます。

【停電発生時】落ち着いて確認・対処したいこと

実際に停電が起きたときは、次のように対処しましょう。

  • ブレーカーと自宅周辺の確認(我が家だけ?地域全体?)
  • 火の始末(ガスコンロなどを安全に消す)
  • 冷蔵庫は極力開けない(保冷効果を保つため)
  • 電化製品の電源プラグを抜いておく(避難する場合;復電に備える)

【復旧後】ブレーカーを戻す前に、安全確認を

復電したことに気づいたら、再通電前後に次の点に注意しましょう。

  • 電化製品に異常がないか(地震で高所から落下したものもあるかも知れません。電化製品に損傷がないかよく調べます。)
  • 冷蔵庫の中身は、食品の傷みがないか慎重に確認

特に夏場は、冷蔵庫の中の食品が傷んでいても気づきにくく、食中毒のリスクがあります。

実はここまでできる!停電に強い家づくりとは?

ここまで、一般的な停電対策をご紹介してきましたが、実際にわが家ではもっと根本的な備えとして、「太陽光発電+EV+V2H」を導入しています。

この仕組みがあれば、停電しても昼間に発電・充電し、夜は車の電気で家庭の電気をまかなうことができます。
しかも、普段の生活でも電気代の節約に役立ち、「非常用」ではなく「常用+安心」の設備として活躍中です。

以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください:

▶️《防災のプロ実践》太陽光発電+EV+V2Hで停電対策!暮らしが変わったリアル体験
▶️【実録】太陽光発電+EV+V2Hの導入コストと経済効果を公開!本当に元は取れるのか?

設備にお金をかけたくない場合は、ポータブル電源とソーラーパネルという方法もあります:
▶️災害に備えよう!停電対策完全ガイド ポータブル電源は役に立つのか!?

まとめ:明日停電しても困らないために、今日見直しておこう

停電は、「ある日突然やってくる災害」です。
そして、来てからではもう備える時間はありません。

でも、難しいことはありません。
この記事で紹介したような“当たり前の備え”を一つひとつ整えることが、
あなたとご家族の安心につながります。

今この瞬間が、「準備しておいてよかった」と思える未来への第一歩です。

ABOUT ME
もげら47
自衛隊で大型輸送ヘリの機長として15年勤務。その間、震災や林野火災など数多くの災害派遣に出動。その後消防防災航空隊に転職し、消防防災ヘリの機長として、10年以上にわたり山岳救助、空中消火活動などに従事。 次いで2年間地方自治体の防災課で防災関連の事務事業を推進するなど、防災一筋の人生。 現在はこうした経験を活かし、防災士ブロガーとして防災関連の情報を発信しています。 【保有資格】 ・防災士 ・事業用操縦士(回転翼機+飛行機) ・航空無線通信士 ・乙種第4類危険物取扱者 ・他
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