停電は「誰にでも起こる災害」――実例に学ぶ備えの重要性
私たちはつい「電気はいつもあるもの」と思いがちですが、大きな地震や台風、落雷などで電力が長時間停止することは、決して珍しくありません。
実際に、日本各地で次のような大規模停電が発生しています。
2018年 北海道胆振東部地震

- 発生日:2018年9月6日
- 停電戸数:約295万戸(北海道全域)
- 復旧までの時間:一部地域で1週間以上かかりました
→ 電力の供給バランスが崩れ、全道でブラックアウトが発生
2019年 台風15号(関東地方)
- 発生日:2019年9月9日
- 停電戸数:約93万戸(主に千葉県)
- 復旧までの時間:10日以上停電が続いた地域も
→ 電柱の倒壊や倒木で復旧が遅れ、都市部でも長期停電に
2022年 福島県沖地震
- 発生日:2022年3月16日
- 停電戸数:約210万戸(首都圏含む)
- 復旧までの時間:数時間〜翌日までの地域も
→ 東京23区の一部でも停電し、都市機能が一時混乱
こうした実例を見てもわかるように、「大きな災害があれば、停電は十分に起こりうる」ことがわかります。
では、どう備えればよいのでしょうか?
停電にどう備える?フェーズ別に対策を考える
停電への備えは、「いつ・何を」すればよいかを整理しておくことが大切です。
ここでは、日頃の備え・停電発生時の行動・復旧時の注意点の3段階に分けてご紹介します。
【日頃の備え】停電前に準備しておきたいもの
日常生活の中で、これだけは準備しておきたい基本アイテムです。
特別な道具ではなく、どれも身近なものばかりですが、あるかないかで停電時の対応は大きく変わります。
ポイントは、最も深刻な状況、例えば真夏の1週間以上の停電を想定することです。
LEDライト or ランタン
LEDライトは寝室とリビングにおいておくと良いでしょう。
また、次の防災ラジオには多くの場合LEDライトが装備されていることが多いので、一つ準備しておくとよいでしょう。
携帯用防災ラジオ(情報収集のため)

テレビは使えなくなるので、情報収集には携帯ラジオが欠かせません。
「防災ラジオ」は手回し式の発電機、LEDライト、サイレン、充電用USBポートが装備されたものが数多く販売されているので、一つ持っておけば安心です。
なお、携帯ワンセグテレビという方法もあります。
情報収集はスマホで十分じゃないの?radikoもあるし。
災害が発生するとネット回線が混雑したり、基地局も(バックアップ電源がなくなると)停電するので、スマホはネットに繋がらなくなることがあります。
一方、ラジオはこうした心配がないので、スマホとは別に準備しておくことを強くお勧めします。
ラジオもテレビも、自動車についてるじゃん
確かにそうです。
でも自動車に行かないと視聴できないともいえるので、やはりラジオくらいは手元にあった方が安心で便利です。
乾電池・モバイルバッテリー・ソーラー充電器

停電が長期化すると、スマホの電池が寂しくなってきます。
そうなると充電式のモバイルバッテリーよりも電池式の方が便利かもしれません。
先に述べた防災ラジオで充電する方法もありますが、充電にとても時間がかかるのであくまでも「非常用」と心得たほうが良いでしょう。
スマホなら車でも充電できるじゃない
もちろんそういう方法もあるね。
けれども災害時はガソリンが調達しにくくなるから、スマホを充電するためだけに車のエンジンを発電機代わりに使うのはもったいないと思うよ。
だから自動車を使う「ついで」に充電するのであれば良い方法、一石二鳥だ。
なお、ポータブル電源を備えておくという方法もあります:
→災害に備えよう!停電対策完全ガイド ポータブル電源は役に立つのか!?
カセットコンロ+ガスカートリッジ
オール電化のご家庭ではIHクッキングヒーターが使用できなくなるため、調理器具のバックアップに一つ、ガスカートリッジとセットで備えておくとよいでしょう。

ご飯を炊くときはこちらを参照してください:
→災害時に炊飯器を使わずご飯を炊く!キャンプでも使える超簡単な炊飯方法
飲料水
停電が大規模になると、浄水施設が機能を停止し断水する場合があります。飲料水は災害対策としてどのみち必要となるので、停電に関わらず準備しておきましょう。

具体的な備蓄量は、こちらの記事をご覧ください:
→【災害用の水は何リットル必要?】家族の人数×日数でわかる備蓄量と保存のコツ
非常食
停電後の食事は、(機能を停止した)冷蔵庫に入っている生鮮食品から優先的に消費していきます。
その後は日持ちのする食品を消費していくことになるため非常食を備えておくことが重要です。
冷蔵庫の中身が無くなったら買いに行けばいいのでは?
周辺のお店も一緒に停電してるかもよ。
災害時に営業しているお店は客が殺到してすぐに売り切れちゃうし
だから自分で備蓄しておかないと。
非常食についての詳しくはこちら:
→その備蓄で大丈夫?今すぐ始めるべき正しい災害備蓄の方法
冷凍庫でPETボトルの氷を作っておく
普段から冷凍庫にペットボトルに水を入れて凍らせておくとよいでしょう。
これは停電したとき冷蔵庫に移します。
冷蔵庫はクーラーボックスのように保冷機能を有しているため、保冷剤として役に立つし、溶けたら冷水として飲むこともできるため、夏場の熱中症予防にもなります。
ウェットティッシュ・非常用トイレなどの衛生グッズ
先に述べたように、停電→断水によって、入浴もできなくなることがあります。
長期保存に向いたウェットティッシュを準備しておくとよいでしょう。

トイレが流せなくなることも想定し、非常用トイレを準備しておきます。

あわせて読みたい:
→災害時のトイレ問題を完全解決!在宅避難で困らないための備えとは?
冷暖房が使えない状況への備え
最近はエアコンが無いととても耐えきれない暑さの日もあります。そんなときに停電した場合の影響は深刻です。おすすめは、先に述べた通り普段からPETボトルに水を入れて凍らせておくこと。
一方、寒い時期は石油ファンヒーターが使えなくなります。
そこで、電気を使わない石油ストーブがあると安心でしょう。
これなら、湯を沸かしたりすることも出来るので災害に強いと言えます。
【停電発生時】落ち着いて確認・対処したいこと
実際に停電が起きたときは、次のように対処しましょう。
- ブレーカーと自宅周辺の確認(我が家だけ?地域全体?)
- 火の始末(ガスコンロなどを安全に消す)
- 冷蔵庫は極力開けない(保冷効果を保つため)
- 電化製品の電源プラグを抜いておく
- 避難する場合はブレーカーを切る
どうして避難前にブレーカーを切るの?
「通電火災」を防止するためです。
停電に伴う意外な落とし穴「通電火災」とは!?
地震発生後は停電することがありますが、その際例えば電気ストーブなどの加熱器具が転倒し、あるいはそれらに可燃物が接触したままになっていると、停電が復旧し再通電したときに火災になることがあります。

その他、地震によって配線が損傷を受けたり、浸水によって電化製品に水が入ったりすると再通電に伴って出火し火災に発展することもあります。
これが「通電火災」で、阪神・淡路大震災でその被害が広く認知されることになりました。
だから発災後に避難する場合は自宅を後にする前必ずブレーカーを切っておきましょう。

通電再開時も油断大敵
給電が再開されたら、家電の使用を再開する前に、浸水などで家電が損傷を受けていないか、配線が損傷を受けていないかをよく確認してください。外見上異常がないように見えても、内部で何らかの損傷を受けることがあります。
使用時に異臭がする、煙が出てくるといった兆候があれば直ちに使用を停止し電源プラグを抜いてください。
実はここまでできる!停電に強い家づくりとは?
ここまで、一般的な停電対策をご紹介してきましたが、実際にわが家ではもっと根本的な備えとして、「太陽光発電+EV+V2H」を導入しています。
この仕組みがあれば、停電しても昼間に発電・充電し、夜は車の電気で家庭の電気をまかなうことができます。
しかも、普段の生活でも電気代の節約に役立ち、「非常用」ではなく「常用+安心」の設備として活躍中です。
以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください:
→《防災のプロ実践》太陽光発電×電気自動車×V2Hで停電対策!暮らしが変わったリアル体験
→【実録】太陽光発電×電気自動車×V2Hの導入コストと経済効果を公開!本当に元は取れるのか?
設備にお金をかけたくない場合は、ポータブル電源とソーラーパネルという方法もあります:
→災害に備えよう!停電対策完全ガイド ポータブル電源は役に立つのか!?
まとめ:明日停電しても困らないために、今日見直しておこう
停電は、「ある日突然やってくる災害」です。
そして、来てからではもう備える時間はありません。
でも、難しいことはありません。
この記事で紹介したような“当たり前の備え”を一つひとつ整えることが、
あなたとご家族の安心につながります。
今この瞬間が、「準備しておいてよかった」と思える未来への第一歩です。