南海トラフ地震がいつくるのかと思うと怖いよ!
何か準備をしておいた方が良いよね?
やはり地震は心配だよね。
今や南海トラフ巨大地震の今後30年以内の発生確率が80%と言われているからね
そこで、ここでは地震に対する備えを確認してみます。
災害への備えは種類によっても重複するところもあるので、まずは地震に対する備えをしっかりとしておけば応用も効きますよ。
最も大事な「揺れ」への準備
地震でまず最初に警戒しなくてはならないのは、言うまでもなく「揺れ」です。
それは揺れによってあらゆる物が凶器に変わるからです。
建築物、照明器具、窓ガラス、家具、調理器具、ストーブ、ブロック塀その他諸々は、適切に処置していないと揺れによって人を傷つけることになります。なので、そうした人工物が凶器にならないようにするというのが最初に行うべき準備です。
住宅の耐震化で直接被害を防ぐ
地震による直接被害
地震による直接被害は、ダントツで家屋の倒壊による圧死・窒息死です。
例えば、兵庫県南部地震では、自宅の全壊により最初の1時間で3842人が死亡しています。これは地震当日の死亡者の内の76%に当たります。
(「震度7 何が生死を分けたのか」NHKスペシャル取材班 KKベストセラーズ より)

一方、熊本地震における直接的な犠牲者は50人でしたが、その内の38人(76%が)がやはり同様に倒壊家屋の下敷きになって命を落としています。(平成28年熊本地震による人的被害の特徴 牛山教授ら より)
つまり、家屋の耐震化が生死を分けると言っても過言ではないのです。
耐震基準とは?
まずは「耐震基準」について確認しましょう。木造住宅には「耐震基準」が設定されているのですが、これは要するに住宅に求められる地震に対する強度の基準のことです。建築基準法と同法施行令で定められていて、大きな地震が発生するたびに改正されてきました。
一般的に、
- 1981年まで:旧耐震基準
- 1981年以降:新耐震基準
- 2000年以降:2000年耐震基準
と呼んだりします。新しいものほどより高い耐震性能が求められるものとなっています。
耐震基準を満足しないと危険なの?
はい。危険です。
まず先に結論を申し上げますが、1981年よりも前の旧耐震基準で建築された住宅に住んでいる場合は次のような対処をすることが望ましいです。
- 頑丈な賃貸に引っ越す
- 改築する
- 耐震補強工事をする
え!引っ越しとか改築とか、急にそんな事言われても無理だよ!
そうでしょうね。分かります。
でも、ちょっと次をご覧ください。
耐震基準を満足しないとなぜ危険なの?
例えば、1995年に発生した兵庫県南部地震においては、旧耐震基準で建設された木造建築物の倒壊率は新耐震基準のそれに比べ有意に高かったことが判明しています
兵庫県南部地震における耐震基準ごとの倒壊率
- 旧耐震基準 18.9%
- 新耐震基準 7.7%
(平成7年阪神・淡路大震災建築震災調査委員会中間報告 より集計)
また、2016年に発生した熊本地震においてもやはり同様に、旧耐震基準による建物の倒壊率が新耐震基準と比較して顕著に高いことがわかります。
熊本地震における耐震基準ごとの倒壊率
- 旧耐震基準 28.2%
- 新耐震基準 8.7%
- 2000年耐震基準 2.2%
(国土交通省調査 https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf)
耐震補強工事ってどういうもの?
耐震補強工事の項目
耐震補強工事では、基礎や壁、柱、屋根などを補強します。例えば次のようなことをします:
- 劣化(腐れや蟻害)を直す
- 壁を強くする
- 壁の配置バランスを整える
- 柱と基礎を金物で固定する
- 基礎に鉄筋を入れて強くする
- 2階の床面や屋根面を強くする
- 基礎のひび割れを直す
耐震補強工事の費用
気になるのは、やっぱり費用ですね。規模や築年数、劣化・損傷の度合いや補強する箇所・数量、工法などによって異なります。
小規模工事で済めば10万円前後、大掛かりな補強工事が必要になると300万~1,000万円ほどの費用が必要になりますが、既存住宅の耐震性能によって変動します。
ただし、多くの場合はお住いの市町村から補助金が出るので、相談してみるとよいでしょう。
家具の転倒・飛散防止
住宅の耐震化に続いては、宅内の整備です。家具や家財が凶器にならないように固定しましょう。
背の高いタンス、冷蔵庫などの転倒防止措置
いくつかの方法がありますが、代表的なものは次のとおりです。
重心を低くする
ガラス瓶、大きな食器など重いものは極力下の方に収納し、重心を下げましょう。
突っ張り棒を使用
突っ張り棒は、写真のように壁に寄せて正しい向きで設置しないと効果が発揮できないので注意しましょう。


また、天井に下からの突き上げに耐えるだけの強度が必要なので、強度がない場合は当板などで補強する必要があります。

天井までの隙間が突っ張り棒が入らないくらい小さい場合は、新聞や雑誌を挟んでおく方法もあります。このときも、壁寄りの奥の方へ押し込んでおきます。
転倒防止マットとL字金具や鎖などを使用
家具をわずかに壁側に傾けることで転倒を抑止します。 これ単独では転倒を完全に防止することはできないため、壁への固定と組み合わせることが有効です。


ただし、壁に固定する際は、石膏ボードしかないところにスクリューをねじ込んでも簡単に抜けてしまい効果が発揮できないので、「下地探し」で間柱や梁のあるところを探します。

食器棚の中身の飛散防止
飛び出してきた食器が割れるのを防止するため、揺れると自動的に扉にロックが掛かる装置が市販されているので取り付けておきましょう。商品名は「耐震ロック」とか「耐震ラッチ」など色々あります。ただし、当たり前ですが扉を閉めておかないと意味がありません。

また、食器棚の中で食器が滑って暴れまわるのを防ぐため、ノンスリップマットを敷いておくと良いです。ノンスリップマットは百円均一で購入できます。更に、食器を収納する際も、重心が低くなるように伏せて置くとより安定するでしょう。

窓ガラスの飛散防止
建物の歪みや激しい振動で窓ガラスが割れても、ガラスが飛び散らないようにフィルムを貼ると有効です。手間はかかりますが、ガラスの破片で怪我をしてしまうとその後の避難に支障を来すことになるのでぜひ済ませておきましょう。地震と同時に停電で真っ暗になってしまうこともあるので、ガラスが飛び散った状態では怖くて歩けませんよね。
地震発生!その瞬間の対応
建物内で地震!
地震が発生したときの対処は、日本人なら全員小学校で習ってきたとおりです。
机やテーブルの下に隠れましょう。隠れるものがなければ、何でも良いから何かで頭を守り、体を小さく、姿勢を低くしてやり過ごします。

これ、大人は子どもにするように言い聞かせるのに、不思議と大人自身はしないんですよね。
実際、大地震発生時の映像がしばしばテレビで放送されることがあるのですが、ほとんどの人はただ立ち尽くすか、オロオロして無意味に動き回るか、書棚が倒れないように、または机の上の物が落下しないように手で押さえるばかりで、机の下に潜り込む人はとても少ないです。
筆者はかつて自治体の防災課に勤務していたとき、地震体験車で多くの人々を案内してきましたが、子どもを連れた親御さんはお子さんには「ほら、ダンゴムシのポーズでしょ」と言う割に、ご自分はしない。

大人も全員やりましょう。特に、震度6弱を超えると揺れに翻弄されて身動きが取れなくなってしまうので、揺れが小さくて動ける内に避難行動を取ることを強くお勧めします。
ただし、慌てて戸外へ走り出てはいけません。瓦、窓ガラス、看板などが落下してくることがあるため危険です。
キッチンで地震!
キッチンは、刃物、火、熱湯など危険がいっぱい。地震を感じたらすぐにキッチンから脱出しましょう。
落下で割れた食器で怪我をすると、その後の避難行動に著しく支障をきたします。
また、冷蔵庫が倒れてきて脱出経路を塞いでしまうかもしれません。
かつては「まず火を消す」が常識でしたが今は違います。震度5相当の震度を検知するとガスメーターが自動でガス供給を停止するので、無理して火を消すよりまず自分の身を守ることを優先しましょう。

揺れている最中に無理して火を消そうと手を伸ばした途端に、ガスコンロにかけている鍋ややかんがひっくり返って火傷の危険があります。
なので、まずはキッチンから脱出してテーブルや机の下に隠れましょう。
入浴中に地震!
入浴中は裸なのでとても無防備です。洗面器や風呂の蓋で身を守りましょう。駆体が歪んで扉が開かなくなる前に、扉を開放します。
鏡が割れてガラスの破片が飛び散るかも知れないので、揺れが収まったら踏まないよう落ち着いて避難してください。
もしお風呂に閉じ込められると、裸のままなので季節によっては低体温症の危険もあります。「お風呂で温まればいいじゃないか」って?停電してしかもガスが止まるかも知れませんよ。

トイレで地震!
トイレの中は比較的安全と言われることが多いのですが、こちらもドアが開かなくなると大変です。「その」最中でも速やかにドアを開放しましょう。また、ドアの前に荷物や段ボール箱などを置いたままにしておくと、地震の揺れで倒れてきてドアが開かなくなることもあるため、トイレの前に物を集積しないようにしておくことも大事です。
就寝中に地震!
就寝中は最も無防備ですから、大前提として寝室には背の高い家具を持ち込んではいけません。どうしても家具を置く場合でも、背の低い安定したものに限定しましょう。
そして、就寝中に地震を感じたら、うつ伏せになって布団と枕で体と頭をを守ってください。
窓ガラスが割れて飛散することもあるため、寝室にはスリッパか運動靴を準備しておくとよいでしょう。
更に、停電で真っ暗になってしまうこともあるので、枕元にライトを準備しておきます。なければスマホのライト機能を利用するのも良いですが、災害後はスマホの電池をセーブしたいでしょうから、できればライトは別に準備しておくことをお勧めします。
地震発生から2~5分後の対応
初動対処
揺れが収まったら、火の始末をします。もし出火していたら火が小さい内に初期消火します。更に引き続く地震に備えて、ドアを開放するなど出口を確保します。
津波に警戒!
海沿いの地域は、テレビやラジオで津波情報を収集しましょう。津波の恐れがある場合は速やかに高台に避難します。
地震のあとは停電やネットが不通になることがあるため、携帯ラジオを準備しておくとよいです。ラジオは非常持出袋に入れておくことをお勧めします。
災害発生時の情報収集については、次の記事を参考にしてください。
災害発生後の情報収集は何を信じれば良い?デマに惑わされず冷静に行動する方法とは
地震発生から5~10分後の対応
家屋のダメージチェック
最初の地震で家屋が倒壊しなかったとしても、もし家が歪んでいたりひびが入っていたりすれば家内に滞在するのは大変危険です。なぜならその状態では本来の耐震性能が損なわれ、2回目以降の地震には耐えられない恐れがあるからです。そして大きな地震の後は、しばしば余震が続くものです。
実際、2016年の熊本地震では、震度7を2回、震度6強を2回、震度6弱を3回、震度5強を4回、震度5弱を8回観測するなど、これでもかこれでもかと繰り返し地震が発生しました。結果、1回目の地震で大丈夫だったのに、2回目以降の揺れには耐えられず倒壊した例が数多く報告されています。
したがって、家屋のダメージチェックで異常が発見された場合、速やかに避難を開始します。
地震発生から10分~半日後の対応
隣近所の安否確認と助け合い
隣近所で家屋が倒壊して生き埋めになっている人がいないか、火災が発生していないか、声を掛け合って確認しましょう。そうした被害を発見した場合は協力して救出救護します。特に、災害時要配慮者(高齢者、障害者、難病患者、乳幼児、妊産婦、外国人など)がいる家庭には積極的に声掛けをします。
大きな地震が発生すれば、消防も警察も一斉に救助要請が殺到するし、道路が無事とは限らないため、自分達で何とかしなくてはならなくなると思っておいたほうが良いです。そこで重要になるのが隣近所の助け合い、「共助」です。
地震発生から半日~数日後の対応
電気、水道などのライフラインを始め食料の流通が途絶えるため、最低でも3~4日程度は自宅にある食料、飲料水でしのぎます。そのためには備蓄が必要です。隣近所で食材を持ち寄って炊き出しをするのも良いでしょう。
備蓄については、別記事(作成中)で紹介します。
避難
家屋に異常が発見されるなど、生活できないと判断された場合は避難することになります。
避難時は、停電が解消し電力が復帰した際に発生する「通電火災」を予防するため、必ずブレーカーをOFFにしておきます。その他避難についての詳細は、別記事(作成中)で紹介します。
まとめ
ここでは、地震への備えを解説してきました。
まずは、自らと家族の命を守るための行動として
- 家屋の耐震化
- 家具の固定
- 窓ガラスの飛散防止
を進めます。続いて、地震発生時にいる場所に応じた初動対応です。
- リビング:机の下に隠れる
- キッチン:脱出
- 入浴中、トイレ:ドア開放
- 寝室:布団と枕で身を守る
更に、経過時間に応じた対応です。
- 発生の瞬間:とにかく自分の身を守る-机などの下に隠れる
- 発生2~5分後:火の始末と津波への警戒
- 発生5~10分後:家屋のダメージチェック→異常があれば避難
- 発生10分~半日後:隣近所の安否確認と助け合い
- 発生半日~数日後:家屋に異常がなければ自宅で過ごします。異常があれば避難。避難時は、通電火災に注意!
地震はいつ来てもおかしくありません。発生することを前提に備えを勧めておくことが大事です。