防災特集アーカイブ

“まさか”で損をしないために。火災保険の意外な盲点と見直しポイントを解説!

※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。

火災保険に入ったんだ♪これでいざというときにも安心だよ。

そうなんだ!それは良いね。
でも補償範囲、よく理解してる??
思わぬところにワナが隠れているから気をつけた方が良いよ!

火災保険には、「これも補償されるだろう」と思っていたのに実際には対象外だった――という“知らなかったでは済まされない”落とし穴がいくつか存在します。

今回は、その中でも特に重要な3つのポイントを取り上げ、実例や法律の仕組みも交えてわかりやすく解説します。
あなたの保険が、本当に家族を守れるものかどうか、確認するきっかけにしてください。

地震が原因の火災は、火災保険では補償されない

ごめん、ちょっと何言ってるか分からない。

火災保険の名前から、火が出たらすべて補償されると思っている人は少なくありません。
ですが実は、「地震」や「津波」が原因で起きた火災については、火災保険では一切補償されません

地震によって発生した火災に対しては、地震火災に加入していないと補償されない
地震によって発生した火災に対しては、地震火災に加入していないと補償されない(画像はイメージ)

このことは、保険各社の約款に“地震・噴火・津波を原因とする損害は免責”と明記されています
政府広報オンラインでも注意喚起されています:
▶️政府広報オンライン 被災後の生活再建を助けるために。もしものときの備え「地震保険」を

どうして!どうしてさ!?
同じ火事でしょ!

まず、地震は予測ができないし、ひとたび大きな地震が発生すると想定外の大規模な火災に発展するおそれがあるでしょ。
そうなると損害額が余りに巨大になるので、地震に起因する火災は「地震保険」に含めているんだ。

💡実際にあった「補償されなかった火災」の例

東日本大震災の3日後、宮城県気仙沼市で発生した火災で家を失った7世帯が、火災保険の支払いを求めて裁判を起こしました。
しかし、出火が3日後とは言え火災の原因が「津波で浸水した車の電気系統ショート」によるものであったと認定されため、裁判所は「地震を原因とする火災」と判断し請求を棄却。
結果として、1億5700万円以上の損害はすべて自己負担となってしまいました。
判例(仙台地裁気仙沼支部・2014年3月)

参照:保険法・判例研究 「東日本大震災の3日後に発生した火災による損害と地震免責条項の適用」

このようなリスクから住まいを守るには、火災保険とは別に「地震保険」に加入しておく必要があります。地震による損害は、基本的に地震保険でなければカバーされないのです。

地震保険は単独で加入できないので、火災保険に付帯して契約します。詳しくはこちら:
▶️地震保険って単体では入れないって知ってた?その理由と備えるべき本当の意味

火災保険の補償内容は、実はかなり複雑

「火災保険」とひとことで言っても、その中身は実にさまざま。
火事だけでなく、風災・水災・盗難・破損など、何をどこまで補償するかは契約プラン次第です。

たとえば、同じ火災保険でも――

  • 水災(台風・大雨)を補償するかどうか
  • 破損・汚損(子どものいたずらなど)を含めるかどうか
  • 家財も含めるのか、建物だけか

……といった選択肢があるため、内容を確認せずに契約していると、実際に困ったときに「対象外だった」と判明するケースが多々あります

💡 「とりあえず入った」では後悔するかも

多くの人が、マイホーム購入時に住宅ローンと一緒に火災保険に加入しますが、その際「代理店に任せっぱなし」になっていませんか?

更新のたびに補償内容を見直すチャンスがあるにもかかわらず、気づかないまま同じ内容を継続してしまう人も多いのが現実です。

火災保険=安心ではなく、“どんなリスクをどこまでカバーしているか”が重要なのです。

あと、見落としがちなのは、自動車やバイクは補償対象外ということ。
家屋が燃えて、しかも車庫に駐車しておいた車両までもが全焼しても補償されません。
火災保険が対象とするのは、家屋や家財。車両は家財ではないため、火災が心配なら車両保険に加入しておかなくてはなりません。

隣家の火事で延焼しても、相手に損害賠償請求できない

「もし隣の家が火事になって、自分の家に燃え移ったら、さすがに相手が弁償してくれるでしょ?」

隣家の火事で延焼しても、相手に損害賠償請求できない
隣家の火事で延焼しても、相手に損害賠償請求できない(写真はイメージ)

実は、それが通用しないのが日本の法律です。

なぜ相手に責任を問えないの?「失火責任法」の仕組み

日本には「失火責任法(しっかせきにんほう)」という法律があります。
この法律により、火災の出火者が重大な過失(=重過失)を犯していない限り、損害賠償責任を負わないと定められています。

どうしてそんな決まりがあるの?
隣の家のせいで自分の家が燃えちゃったら絶対弁償してほしいんですけど!!

💡日本はかつて、木造家屋が密集する住宅事情を抱えていました。
一度火事が起きれば、延焼は避けられないのが現実。
このような環境で「すべて火元が責任を取る」としてしまうと、あまりに過酷で不公平だとされ、社会全体でリスクを分散する制度として成立したのがこの法律なのです。

現実に起きた「泣き寝入り」の例

ある主婦は、隣家の火災によって自宅の一部が延焼し、多額の修繕費用がかかりました。
「当然、火元の家が弁償してくれるはず」と考えていたところ、保険会社から説明されたのは「失火責任法により請求できない」という事実。
結果的に、自分の火災保険だけが頼りとなり、「もっと補償内容を確認しておけばよかった」と深く後悔したといいます。

まとめ:知らないと損をする火災保険の落とし穴

火災保険は、(どの保険でも同じですが)「とりあえず入っていれば安心」というものではありません。
今回ご紹介したように――

  • 地震が原因の火災には火災保険が効かない
  • 補償内容は契約プランごとに大きく異なる
  • 隣家からの延焼でも損害賠償請求は原則できない

――という「知っておかないと損をする落とし穴」があるのです。

もし火災保険にまだ入っていない人は、是非加入をお勧めします。
そして今火災保険に入っている人は、補償条件をよく見直してみてください。

あわせて読みたい:
▶️地震保険って単体では入れないって知ってた?その理由と備えるべき本当の意味

火災保険選び、まずは「見積もり」から

火災保険には、補償内容や保険料に各社で幅があります。
複数社の見積もりを比較することが、納得できる保険選びの第一歩
最近は、簡単な入力だけで一括見積もりできるサイトも充実しています。
忙しい方でも、自宅で気軽に比較検討できますよ。

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ABOUT ME
もげら47
自衛隊で大型輸送ヘリの機長として15年勤務。震災や林野火災など多数の災害派遣に出動。|その後、消防防災航空隊に転職し、消防防災ヘリの機長として10年以上にわたり山岳救助や空中消火活動に従事。|次いで2年間、地方自治体の防災課で防災関連の事務事業を推進するなど、防災一筋の人生。|現在はこうした経験を活かし、防災士ブロガーとして防災関連の情報を発信しています。|【保有資格】防災士・事業用操縦士(回転翼機+飛行機)・航空無線通信士・乙種第4類危険物取扱者・他| 🐾 記事に登場する「わからんこ」や「ちびもげら」って誰? ▶️キャラクター紹介はこちら
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