どうも!Mogera47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と災害対策一筋でやってきた防災士です。
避難所ってどんなところなの?
あまりいい話聞かないんだけど…
避難所生活って、一生の内に何度も経験するものじゃないから、不安に思うのも無理ないよね。
でも、避難所生活がどんなだか予想が付けば、準備の仕方も分かる。ちゃんと準備しておけば何とかなる!
はじめに
避難所は災害から命を守るための大切な場所です。
しかし、多くの人が集まるため、普段の生活とは異なる環境になります。
事前に避難所の実態を知り、適切な準備をしておくことで、不安を減らし、快適に過ごすことができます。
本記事では、避難所での生活のリアルな側面と、それをうまく乗り切るための工夫を紹介します。
なんで避難しなきゃいけないの?
「そもそも避難しなくてはならない状況って?」
と思いませんか?
「避難」とは「難」を「避ける」ということで、必ずしも避難所に行くことを指すわけではありません。自宅に留まることが安全だと判断されれば、そのまま「在宅避難」をすることになります。一方、その場にいることが危険だと判断されれば、「避難」します。避難する先として「避難所」が選択肢のうちの一つになるわけです。
避難については、こちらをご覧ください:
あなたの避難計画、本当に大丈夫?知らないと危険!防災のプロが教える避難の基本
避難所ってどんな場所?
多くの避難所は、学区内の学校の体育館や公民館などが事前に指定されていて、災害が発生すると市町村によって設置されます。そうた「指定避難所」でなくても、親戚の家、知人宅、ホテルなど安全ならどこでもいいのですが、ここでは典型的な「指定避難所」を例として解説します。
避難所は知っての通り、多くの他人同士が一時的に共同生活を送る場所です。
限られた資源の中で生活するため、事前の心構えと準備が重要です。
避難所の開設と運営
まず知っておいて頂きたいことは、避難所は発災からすぐに開設されるとは限らないということ。
なぜなら避難所は市町村役場の職員が開設するのですが、発災直後は役場が初動対処のため職員らは多忙を極めるし、運営すべき役場の職員自身が被災していて十分なマンパワーを派遣できるとは限らないからです。
また、避難所はホテルではありませんから、過度なサービスを期待してはいけません。基本的には被災者自身が運営していくつもりでいましょう。
個人スペース
「避難所」と聞いて多くの人々が想像するのは、多くの人々が体育館で密集して雑魚寝している様子ではないでしょうか。

一昔前までは、こうした風景が普通でしたが、COVID19(新型コロナウィルス感染症)による感染対策が一般化して以来、テント型のパーティションが設置され、家族単位でのプライバシーが保護される場合もあります。
が、それも状況によります。
災害の規模が大きくなると…
- 避難者が増える
- 避難所を数多く開設しなくてはならなくなる
- 避難所が増えれば行政の手が回らなくなる
という状況になるため、避難所は「壁と屋根があるだけの場所」になります。
避難所の環境と個人レベルで行う対策
繰り返しになりますが、避難所はホテルではないので、避難所で少しでも快適に過ごすには事前の準備が必須です。準備しておくものとしてはこちらが参考になります:
トイレ
避難所と言えばトイレが真っ先に大きな問題になります。実際、これまで数多くの避難所ではトイレが「とんでもないこと」になってきました。
つまり、数多くの避難者が断水したトイレにそのまま用を足すので、汚物が山盛りになるのです。
平成28年熊本地震「避難生活におけるトイレに関するアンケート」(日本トイレ研究所)によると、「避難生活の初期において、もっとも困ったこと」では62%の人々が「トイレ」と回答しており(複数回答)、食事(50%)とプライバシー(40%)を超えています。
トイレが使えなくなると、そこら辺に穴を掘ったり、体育館の裏の側溝で用を足すようになります。食事は我慢できても、トイレは我慢できないのでこういうことになります。
最近は、避難所となる小中学校や自治体の施設に「マンホールトイレ」を設置するケースもありますが、全ての避難所にあるわけではありません。

少しでも良いので各自で非常持出袋には非常用トイレを入れておくと良いですね。
食事と水
配給はありますが、最初の数日は十分に行き渡らないと思ったほうが良いでしょう。災害の規模が大きくなればなるほど、その期間は伸びるかも知れません。
【どうすればいい?】
自分用の非常食と水を準備しておく必要があります。非常持出袋に準備して持っていきましょう。
人間関係
大勢の見知らぬ人、それも生活スタイルの異なる不特定多数の人々が集まるため、ある程度の摩擦は避けられません。そうでなくとも、避難所生活は非常にストレスの溜まりやすい環境と言えます。
【どうすればいい?】
ともに苦境を乗り越えた「戦友」となるか、ただの険悪な間柄となるかは、互いの気の持ちようです。SNSやネットで楽しい情報を得て互いに気を紛らわせたり、それぞれの趣味や特技を活かして避難所運営に参加するなどして、コミュニケーションを取ると良いですね。
自治会(町内会)で日頃から顔の見える関係を築いておくと、災害の場面で非常に有効に機能することがこれまでの災害において証明されてきたので、めんどくさがらずに加入しておくとよいでしょう。
防犯対策
避難所は多くの人が出入りするため、防犯対策をしっかりしておくと安心です。特に夜間や混雑時には、貴重品の管理が重要になります。
【どうすればいい?】
貴重品は常に身につけておきます。就寝時は枕(エアクッション)の下に入れるなど自衛しましょう。
防犯対策に不備があれば貴重品を失うだけではなく、即、人間関係悪化につながるので、油断せず万全を期すことが大事です。
また、悲しいことに昔から避難所での性被害はつきものです。
トイレの問題とも関係が深いのですが、女性・子どもは単独行動を避けるとともに、防犯ブザーや笛を持ち、不審な状況を感じたらすぐに周囲に知らせられるよう備えておくとよいでしょう。
「そういうことがあり得る」と心構えしているか、そうでないかの差は非常に大きいと思います。
避難所に持っていくべきもの
避難所では最低限の備えしかないため、様々なものを自分で持参していく必要があります。
必須アイテムはこちらでご案内しております:
車中泊
プライバシー保護のために、車中泊を選択する人々も多いです。
ただし、運よく車で避難所に来ることができた人に限定されますが。
車中泊をする場合は次のことに気をつけましょう。
時々体を動かす
狭い車内でずっと同じ姿勢を続けているとエコノミークラス症候群になります。
車内でも足首を回す、足の指を閉じたり開いたりする、ふくらはぎをマッサージする、あるいは時々車外に出て軽く体を動かすなどをして、血栓の発生を予防しましょう。
周囲の人々に配慮する
エンジンをかけたままでいると、騒音や排気ガスがトラブルの原因になるので、場所と時間帯に配慮しましょう。
排気ガスによる中毒と火災に注意
アイドリングで過ごす場合は、騒音だけではなく排気管が雪や雑草で塞がれることの無いように注意しましょう。積雪で塞がれれば一酸化炭素中毒、枯れ草で塞がれれば火災の原因になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
避難所は、命を守るための大切な場所です。不便な面もありますが、事前の準備と心構えがあれば、より安心して過ごすことができます。避難所生活を快適にするためのポイントを押さえ、いざというときに備えましょう。