どうも!もげら47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と防災一筋でやってきた防災士です。
え、今揺れてるのに今さら警報?
緊急地震速報、全然役に立たないじゃん
揺れ始めてから警報が鳴ってもねえ…
…と疑問に思う人は少なくありません。
しかしそれ、仕組みを知れば納得する話です。
速報の仕組みと意味を知って、正しく備えましょう。
筆者はかつて、地震体験車の運営に携わっており、地震体験をする人たちに
「揺れの方が速報より早いこともありますからね」
と説明しても、きょとんとされることがしばしばでした。
この記事では、そんな「よくわからないから使えない」と感じている方に向けて、緊急地震速報のしくみ・限界・役立て方をわかりやすく解説します。
緊急地震速報とは?
一言でいえば、地震の「強い揺れ(S波)」が来る前に、先回りして知らせてくれるアラームで、こういう音です(再生する場合は周囲に音が漏れないようにしてください)
1 テレビ、ラジオの場合
2 スマホのエリアメールの場合
これを聞くと緊張感が高まりますよね。
この警報、仕組みのカギは「地震波の性質」にあります。地震が起きると、まず「P波(初期微動)」という小さな揺れが走り、次に「S波(主要動)」という大きな揺れが襲ってきます。
P波とは「Primary wave」、S波とは「Secondary wave」の略で、それぞれ、縦波と横波という違いがあります。
- 縦波=振動方向と進行方向が同じ波のこと
- 横波=振動方向が進行方向と直交する波のこと。

そして――
- P波(初期微動)は秒速約7kmで進む
- S波(主要動)は秒速約4kmで進む
この差を利用し、気象庁の全国の地震計が先にP波を検知→すぐに震源地や規模を解析→S波に先回りして予想される地域に速報を配信してくれるのです。
つまり、P波→警報→S波という流れが理想的な動作です。

「警報より先に揺れた」のはなぜ?
「揺れた後に鳴るのはおかしい」と感じるかもしれません。
でも、これは緊急地震速報が“万能ではない”からこそ起こる自然な現象です。
地震の震源に近ければ近いほど、S波が警報より早く到達してしまいます。
たとえば、震源から10kmの地点にいたら、S波はたった2.5秒ほどで到達します。
たとえ即座にP波をキャッチしても、解析・配信に2秒かかれば、間に合わないこともあるのです。
筆者も体験車の説明中、体験者の多くが「え?そうなの?」「先に揺れが来るなんて知らなかった」と驚いていました。
緊急地震速報が「意味ない」と思われるワケ
多くの人が緊急地震速報に不信感を抱く背景には、次のような誤解があります。
- 「揺れる前に必ず鳴るはず」という思い込み
- 震源に近い場合の遅れを「ミス」と感じる
- 速報が鳴らなかった=システムが働いていないと思ってしまう
しかし、これは「しくみ」を知らないがゆえの誤解です。
実際、震源から距離がある地域では、10秒〜数十秒の猶予を確保できた例も多数あります。その時間で身を守る行動ができれば、被害の軽減につながります。
例えば、震源から100kmの距離がある地域では、P波到達まで14秒、S波到達まで25秒かかるので、その差は11秒です。解析と配信に2秒を要したと仮定すれば、主要動到達まで9秒の猶予が出来るため、その時間で身を守る行動ができれば、被害の軽減につながります。
スマホにどうやって速報が届くの?
気象庁が発した緊急地震速報は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクなどの通信会社を経由して、対象エリアのスマホに一斉送信されます。

条件としては以下の通り:
- 震度4以上が予想される地域の端末のみが対象
- 通信が可能な状態(電源ON・圏内)でなければ受信できない
- 格安SIMなど一部端末は非対応の場合あり
つまり、「鳴らなかった=異常」ではなく、対象外だったか受信条件を満たしていなかったというだけの可能性もあります。
緊急地震速報の活かし方
では、速報を受け取ったとき、どんな行動を取ればいいのでしょう?
以下は基本の動作です:
- 【家庭内】
- 火の元があれば火を消す(無理なら離れる)
- 倒れやすい家具から離れる
- 丈夫な机の下に隠れる
- 【屋外】
- ブロック塀や電柱、看板の下から離れる
- 頭を守る姿勢を取る
- 【電車やバス】
- 手すりをつかむ
- 落下物に注意する
大切なのは「何秒かの猶予を活かす」準備を日頃からしておくことです。
そのためには、「なぜ警報が鳴るのか」「鳴らないときはどういう理由か」を正しく理解しておく必要があります。
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まとめ:過信せず、でも無視しないで
緊急地震速報は、たしかに完璧ではありません。
震源地に近ければ間に合わないこともあるし、誤差もあります。
でも――
その数秒の差が命を守る「最後のチャンス」になることもあるのです。
「当てにならない」と切り捨てる前に、ぜひ一度その仕組みを知って、冷静に付き合ってみてください。
あなた自身の命を守るために。
そして、大切な人を守るために。
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