なんか最近、地震多くない?
そろそろ何か備えをした方がいいのかなあ。
でも、何から始めたらいいのかわかんないよ。
防災初心者にとって“何から始めればいいのか”というのはよくある疑問です。そんなときは寝室の地震対策、寝室防災から始めてみてはいかがでしょうか。
なぜなら、寝室は1日の1/3を無防備な状態で過ごす場所なのに、意外に見落とされやすい危険が潜んでいるからです。
そこで、この記事では「寝室防災」に注目して、今日からできる地震対策をやさしく解説します。
就寝中の地震の例
こうした「寝室の危険性」は、過去の大地震でもはっきりと現れています。
1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)は、朝の5時46分という、ほとんどの人が就寝中の時間帯に発生しました。
しかも、日の出前の真っ暗な時間帯だったため、視界も悪く、避難行動が極めて困難でした。

さらに当時は、1981年以前に建てられた「旧耐震基準」の家屋が多く残っており、それらの建物が倒壊したことで多くの人が圧死・窒息死しています。
このように、「就寝中の地震」は非常に過酷な状況を引き起こす可能性があるのです。
あわせて読みたい:
→やらないと絶対後悔!だけどやれば効果絶大-地震対策の定番「家具の転倒防止」
→【防災本レビュー】『震度7 何が生死を分けたのか』“知ったつもり”の地震対策に警鐘を鳴らす渾身の一冊
寝室特有の危険性
地震がいつ起きるかは誰にもわかりません。
だからこそ、最も無防備な時間と場所から備えることが大切です。
人は一日のうち、約3分の1を「寝室」で過ごしています。
しかもその時間は、意識がないまま低い位置にいるという大変無防備な状態。
──それが寝室なのです。

地震が発生すれば、家具は倒れ、物が落ち、窓ガラスが割れる可能性もあります。
それらが寝ているあなたに直接降りかかる──そんな危険が、寝室には潜んでいるのです。
家具転倒・落下物による怪我・死亡
上で述べたように、寝ているときの私たちはふだんよりも身体の位置が低くなっています。
そのため、タンスや棚、照明器具など高い位置に置いてある荷物や転倒してくる家具のエネルギーをより大きく受けることになります。
床に布団を敷いて寝ている場合は特に危険です。
また、寝室はくつろぎの場でもあるため、無意識に物を置きがちです。
日用品や本、電子機器などが積み重ねられていると、それらが落下して通路をふさぐ要因にもなり、避難の妨げにもなります。
災害時の怪我は平時に比べてより深刻なことになります。詳しくはこちらの記事をご覧ください:
→災害時の怪我は想像以上に深刻──自分も周囲も守る「怪我をしない備え」が最も大切
暗闇による避難行動の困難さ
地震が発生した場合、電線の切断などのため停電することがあります。
そして就寝中に地震が起きた場合、それは夜間=暗闇の中での停電を意味します。
寝室の常夜灯も、屋外の街灯も、信号機も何もかもが一斉に消灯し、辺りは真っ暗闇になります。
そんな中で、倒れた家具や床に飛散したガラス片を避けながら動くのはほぼ不可能です。

別の部屋で就寝していた子どもが泣き叫んでいたとしても、そちらへ駆け寄ることさえできない状況になるかも知れません。
こうした「就寝中+暗闇+障害物」という最悪の条件を想定して備えることが、地震対策には欠かせません。
防災初心者でも大丈夫!寝室でできる5つの地震対策
寝室には、「家具の転倒・落下物」と「暗闇による避難困難」という、2つの大きなリスクが潜んでいます。
ここからは、これらの危険から身を守るために具体的にどんな備えができるのかを見ていきましょう。
対策は、すべてすぐにできるものばかりなので、ぜひ一つひとつ確認してみてください。
※なお、一部の対策は「万が一の脱出困難」に備えた補足的な備えとして紹介しています。
家具・落下物対策
その1:寝室の地震対策は“空っぽ”が理想―整理整頓と家具転倒防止のすすめ
まず、寝室では「何も置かない」ことが理想的な対策です。
地震が起きたとき、転倒や落下のリスクを少しでも減らすためには、普段から少しずつ整理しておくことが大切です。
ものが多すぎて無理だよ…収納少ないし…
そう言わないで何とか頑張ってみようよ
命を守るためだと思ってさ
他に置き場所がなくどうしても洋服ダンスなどを設置しなくてはならない場合は、必ず転倒防止措置をしておきます。
転倒防止措置についての詳しい情報はこちらをご覧ください:
→やらないと絶対後悔!だけどやれば効果絶大-地震対策の定番「家具の転倒防止」
また転倒防止をしても、万が一に備えてレイアウトと寝る場所にも工夫が必要です。

その2:動けなくなる前に!“ガラスの飛散”を防ぐ現実的な対策とは?
現実的な対策として、ガラスが割れても飛び散らないよう「飛散防止フィルム」を貼っておくことをおすすめします。
特に、寝室の窓ガラスは揺れによって割れた場合、素足で踏むと大けがの原因になり、避難行動ができなくなるおそれがあります。
もげら家では、家中の窓ガラス全てに施工しました。
必要量を見積もって、サイズを測って切って、貼って…実際には、大人二人がかりでも数日かかる作業でした。
それでも、「いざという時の安心を買った」と思えば、労力以上の価値があります。
「自分で貼るのはちょっと…」という方は、近所の便利屋さんに依頼するという選択肢もあります。
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暗闇・避難困難対策
その3:暗闇の中でパニックにならないために―枕元に“光”を
寝室には懐中電灯を常備しておきましょう。
スマホのライト機能を使う方法もありますが、災害が発生したときは、スマホは情報収集や連絡手段として重要なため、できるだけバッテリーを温存しておきたいところです。
だから専用のLEDライトを準備しておくことをお勧めします。
その4:すぐ持ち出せるように―貴重品パッケージのすすめ
また懐中電灯とは別に、財布やマイナンバーカードなどの貴重品をパッケージ化して枕元に置いておきます。
寝室に置くことで、万一の揺れの直後でもすぐに持ち出せるようにしておくのがポイントです。
このパッケージは、地震の揺れでどこかへ行ってしまわないよう、例えば壁にかごを設置してまとめておくと良いです。

ちなみに私の場合、次のようなものを非常持ち出し品として巾着袋にパッケージ化しています:
- 財布(免許証、クレジットカード、現金)
- マイナンバーカード
- 預金通帳
- スマホ
- PCのバックアップ用外付けHDD
(家族のアルバムなど重要なデータですが、クラウドに保存しておいても良いでしょう) - 腕時計
毎晩寝るときにこのパッケージを寝室に持っていくのです。コンタクトレンズを使用している人は一緒にメガネも準備しておくとよいでしょう。
え?毎晩?めんどくさいなあ。それに忘れそう…。
習慣化してしまえばどうってことありませんよ。歯磨きと同じです。
それに、毎晩「今夜地震が来たら…」と考える癖ができるので、心の準備にもなります。
避難が必要な時は、このパッケージを非常持出セット(これも寝室に常置)に収納して脱出します。
補足:最悪の事態に備える
その5:閉じ込められたらどうする?ホイッスルや避難はしごの備えを
万一家屋が倒壊するなどして閉じ込められた場合を想定し、上に書いた非常持ち出し貴重品パッケージにホイッスルを常備しておきましょう。重量物に挟まれて大きな声が出せないときでも、ホイッスルがあれば助けを求めることができます。
また、寝室が2階であれば、火災で階段からの脱出ができなくなった場合に備え、窓から脱出できるようにするための避難はしごを常備しておくのもいいでしょう。
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あわせて読みたい:
→家庭用避難はしごで2階からの緊急脱出に備える|使ってみた実体験レビュー
寝室防災から始める!命を守る地震対策を今すぐ実践しよう
地震のリスクはどの部屋にもありますが、就寝中という最悪のタイミングで被災する可能性が高いのが寝室です。このように「最も無防備な状態で長時間」を過ごす場所だからこそ、家具の転倒や暗闇による避難行動の妨げに対して最優先で対策すべき空間といえます。
これらのリスクに対しては、次のような対策を取って、大切な命を守りましょう。
- その1:整理整頓、できれば何も置かないのが理想
- その2:ガラスには飛散防止フィルムを
- その3:枕元に懐中電灯
- その4:枕元に非常持ち出しセット
- その5:閉じ込め対策(ホイッスルまたは避難ばしご)
「防災は特別なこと」ではありません。
過去の災害で得られた教訓を無駄にしないよう、今日からでも、できることはあります。
毎日の暮らしの中で、一つずつ無理なく備えていきましょう。
