どうも!もげら47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と防災一筋でやってきた防災士です。
ご自宅の地震対策は進んでますか?
地震対策は、何よりもまず寝室から始めてくださいね。
え?なんで?
「凶器が一番多い台所が一番危ない」とか言われるけど…
それはある意味事実ですが、台所よりも、寝室にいる時間の方がずっと長いです。それだけではなく、就寝中は完全に無防備ですからね。
※本記事は、広告を含みます。
はじめに
一日の約三分の一を過ごす寝室。しかもそのほとんどは、言ってみれば「意識不明」な状態で、大変無防備です。この状況で地震に見舞われても、隠れる暇もありません。

しかも就寝中ということは、普通は夜なので周囲が暗いということ。このように寝室には悪い条件がたくさん重なっています。だからこのような悪条件では、まず第一に生き残ることと怪我をしないことに徹底的にこだわって準備を進めていくことが重要です。
どんなに避難訓練をしても、寝ている最中は訓練の成果を発揮できませんから。
この記事では、来たるべき大地震で死なないための、寝室防災について解説します。
就寝中の地震の例
1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震は、朝の5時46分に発生したため、多くの人々は就寝中でした。しかも日の出1時間前なので、辺りは暗いという悪条件です。

しかも当時は旧耐震基準(1981年以前)で建設された家屋が多く残っており、そのため家屋の倒壊によって圧死、窒息死する人が続出しました。
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寝室を襲う3つのリスク
リスク1:家屋倒壊、家具転倒などによる死亡または怪我
就寝中は特に、固定していない家具や、高所に積み上げておいた荷物の落下に対し無防備です。特に床に布団を敷いて寝ている人に対しては、家具や高所の荷物は大きなエネルギーを持っていることになるので、被害が大きくなりやすいです。
さらに、家屋が歪んだり、窓が激しく振動することで窓ガラスが割れて、破片が飛び散ります。

リスク2:暗闇
地震が発生した場合、電線の切断などのため停電することがあります。
就寝中、それは即ち夜間です。だから停電すれば寝室の常夜灯も、屋外の街灯も、信号機も何もかも全て消灯してしまうため辺りは真っ暗闇になります。
真っ暗闇で、ガラス片を含め数多くの障害物がある中では行動できません。別の部屋で就寝していた子どもが泣き叫んでいたとしても、そちらへ向かうこともままなりません。
地震災害に対しては、このような就寝中+暗闇という最悪のケースを想定しておくことが重要です。
リスク3:脱出不能(閉じ込め)
寝室が1階であれば、家屋倒壊のため上階に押しつぶされることがあるかも知れません。こうなると圧死の危険性がありますが、隙間に閉じ込められただけだったとしても、自力脱出は困難です。
一方、寝室が2階の場合、倒壊しなくとも火災が発生すれば、1階に降りるための唯一のアクセスである階段が閉ざされてしまうことを想定しなくてはなりません。
最悪、エイヤッと飛び降りれば、2階くらいなら骨折することはあっても死ぬことはないでしょう。しかし先に述べた通り、災害時の負傷は何としても避けなくてはなりません。
寝室防災の4つの備え
そこで、上記のようなリスクに対しては、次のような備えをしておきましょう。
その1:整理整頓、できれば何も置かないのが理想
死なない、怪我をしないことにこだわるため、基本的には寝室には物を置かないことが最善です。そして普段からきちんと片付けておくことが大事です。
ものが多すぎて無理だよ…収納少ないし…
少し減らしたら?自分の命とどっちが大事か考えてみようよ
置くとしても固くないもの、背の低い家具くらいにしておきましょう。そして、常に整理整頓しておきます。また、高所に重量物、固いものは置いてはいけません。
他に置き場所がなくどうしても洋服ダンスなどを設置しなくてはならない場合は、必ず転倒防止措置をしておきます。
転倒防止措置についての詳しい情報はこちらをご覧ください:
▶️「もっと備えておけば…」と後悔しないために!防災のプロが厳選する本当に必要な地震対策
また、転倒防止をしたとしても、家具が顔の上に倒れてくることの無いよう、レイアウトと寝る場所にも工夫をしましょう。
その2:ガラスには飛散防止フィルムを
ガラスが割れても飛び散らないように、専用の飛散防止フィルムを張っておくことを強くお勧めします。
私は家中のガラスというガラス、全部に貼りました。必要量を見積もって、適切なサイズに切り取って、そして施工…確かに大変な労力でしたが、安心を買ったと思えば安いものです。ご自分でできない場合は、近所の便利屋さんに依頼するのも一つの方法です。
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その3:懐中電灯と非常持ち出しセット
寝室には懐中電灯を常備しておきましょう。
また、懐中電灯とは別に、財布やマイナンバーカードなどの貴重品をパッケージ化して枕元に置いておくことをお勧めします。このパッケージは、地震の揺れでどこかへ行ってしまわないよう、例えば壁にかごを設置してまとめておくと良いです。

ちなみに私の場合、次のようなものを非常持ち出し品として巾着袋にパッケージ化しています:
- 財布(免許証、クレジットカード、現金)
- マイナンバーカード
- 預金通帳
- スマホ
- PCのバックアップ用外付けHDD
(家族のアルバムなど重要なデータですが、クラウドに保存しておいても良いでしょう) - 腕時計
毎晩寝るときには、このパッケージを寝室に持っていくのです。
え?毎晩?めんどくさいなあ。それに忘れそう…。
習慣化してしまえばどうってことありませんよ。歯磨きと同じです。
それに、毎晩「今夜地震が来たら…」と考える癖ができるので、心の準備にもなります。
避難が必要な時は、このパッケージを非常持出セット(これも寝室に常置)に収納して脱出します。
その4:閉じ込め対策
閉じ込められた場合の対策よりも、実はもっと本質的な問題があります。
(ここでは、集合住宅ではなく一戸建てを例にして解説します)
旧耐震基準(1981年以前)で建設された家屋の場合は、耐震基準だけではなく家屋の老朽化が進んでいる恐れがあるため、地震で倒壊する危険性がより高いといえます。このため、まずはこれに警戒する必要があります。
家屋が倒壊するというのは最も深刻な事態ですから、本来であれば「家に潰されないようにする」という対策が最優先になるでしょう。つまり、地震に強い家に建て替えるか引っ越す、耐震補強工事をする、などです。
しかしながらそんなに簡単に行くものでもないので、当面の対策としては次の二通りが考えられます。
寝室が1階の場合
旧耐震基準で建設された家屋の場合は、2階のほうがいくらか安全と言えるため、寝室を2階に変えるというのが一つの方法です。
それができない場合は、閉じ込められた場合を想定し、上に書いた非常持ち出し貴重品パッケージにホイッスルを常備しておきましょう。重量物に挟まれて大きな声が出せないときでも、ホイッスルがあれば助けを求めることができます。
寝室が2階の場合
火災で階段からの脱出ができなくなった場合に備え、窓から脱出できるようにするための避難はしごを常備しておきましょう。
ただ、常備するだけでは不十分で、ちゃんと開封して異常がないことを確認し、必ず訓練をしておきましょう。非常時はパニック状態になるので、予め慣れておかないと使用できません。そして忘れないように定期的に行っておくことが肝心です。
ちなみに、もげら家ではこれ↓を購入しました。実際に訓練してみたのですが、設置・展開は本当に簡単です。ただし、やはり2階の窓からの脱出は恐怖心があるので、それに慣れるためにも一度実際に使ってみることが重要だと思いました。
![]() | 価格:8480円~ |

まとめ
地震のリスクはどの部屋にもありますが、寝室は「最も無防備な時間」を過ごす場所だからこそ、最優先で対策すべき空間です。
- 家具の転倒による圧死や怪我
- 停電時の混乱と避難行動の妨げ
- 家屋倒壊や火災による閉じ込め
これらのリスクを想定し、日頃からの備えを積み重ねていくことで、大切な命を守ることができます。
“寝る場所の安全を守ること”は、”家族の未来を守ること”に直結しています。
「防災は特別なこと」ではありません。毎日の暮らしの中で、できることから一つずつ始めてみませんか?
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