太陽光発電や電気自動車、それにVehicle to Home(V2H)が災害に強いというのは分かるけど、コストの点ではどうなんだろう??
災害対策を目的として導入したとしても、コストのことはやっぱり気になりますよね。初期投資額が回収できるのか、というのは当然把握しておきたいと思うでしょう。
わが家では、2023年11月から太陽光発電と電気自動車(EV)を導入し、2024年9月からはV2H(Vehicle to Home)を運用しています。本記事では、これらの組み合わせによるコストと経済効果について、実体験に基づいて解説します。
なお、記事には広告を含みます。太陽光発電、EV、V2Hの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。それではどうぞ!
結論から言うと、初期投資額の回収には課題があるかもしれません。しかし、災害への備えとしての安心感や、環境負荷の低減といった金額に換算できないメリットも大きいと感じています。
※本記事のデータはあくまで一例であり、すべての家庭に同様の結果が得られるとは限りません。導入を検討される際は、各自の状況に応じた判断をお願いします。
わが家の構成
- 太陽光パネル 発電容量:6.88kW
- V2H 充放電電力 :6kW未満
- EV 電池容量 :20kWh
太陽光・EV・V2Hの導入にかかった初期費用と補助金
導入費用の明細

※カーポート本体の費用は除外しています。
補助金の仕組みと注意点
補助金は国または自治体が限られた予算枠内で提供しており、原則として「早い者勝ち」です。導入を検討する際には、補助金の有無を事前に確認することが重要です。
太陽光発電システム
国の補助制度は2024年時点で廃止されていましたが、一部の自治体では継続されています。筆者の住む自治体では出力5kW以下のシステムが対象だったため、6.88kWのわが家のシステムは対象外でした。
電気自動車(EV)
新車購入時には国の補助金があり、例えばサクラの場合、希望小売価格約260万円に対して57.4万円の補助が出ます(実質203万円)。
更にこれに加え、お住いの自治体によっては太陽光発電システムと同様補助金が利用できる場合があるので、購入前に必ずリサーチしましょう。
ただし、これら補助金は予算枠内の「早いもの勝ち」なので、もし予算を使い切ってしまった場合は利用できません。
そんなときは中古車を探すのも一つの手です。わが家では中古車(198万円)を購入しました。
V2H
V2H機器については、国から最大45万円の補助金が支給されます。筆者は2024年に43.6万円の補助を受けました。自治体によっては追加補助がある場合があるため、確認が必要です。ただ、筆者の町ではすでに応募が締め切られていたため自治体の補助金は使えませんでした。年度末から年度の始めにかけて早く動き出すことが肝心です。
こちらも参考になります:
売電価格とFIT制度
太陽光発電で余剰となった電力は売電できます。FIT(固定価格買取制度)では、一定期間・一定価格での買取が保証されます。2012年当初は42円/kWhでしたが、2024年時点では16円/kWhまで下がっています。

なお、2025年度上半期は15円/kWhですが、下半期以降は「初期投資支援スキーム」が導入される予定で、例えば10kW未満の家庭用太陽光発電の場合、最初の4年間の売電価格は24円/kWhとされ、初期投資の早期回収を狙いとしています。

ただし、5~10年目は8.3円/kWhに減額されることに注意が必要です。
また、売電料が全く同じだった場合は同スキームを利用するとわずかですが売電収入が減少することにも留意しましょう。
設置までの流れと業者選定のポイント
高額な投資であるため、複数社からの見積もり取得が必須です。筆者は一括見積もりサービスを利用し、3社から見積もりを取り寄せました。

価格だけでなく、営業担当者の説明や対応の誠実さ、アフターサポートの体制も重視すべきポイントです。
筆者の家では、太陽光発電は2023年10月に設置完了しました。しかし発電が開始されてもその日から売電収入が発生するわけではありません。いくつかの申請事務があります。普通は施工会社にお任せなので何も心配はいりませんが、わが家が売電を開始したのは設置から約3ヶ月後の2024年1月末でした。
V2Hは翌年度の補助金再開を待ってから導入しました(2024年9月設置)。
実際に使ってみたメリット
太陽光による自家消費と売電により、わが家では年間8.7万円の電気代が逆に年間1.8万円の「収入」へと変わりました。これは実質10.5万円の経済効果に相当します。
実際、電気料金は売電を開始した以降は明確な変化がありました。

一方、防災面のメリットについては別記事をご覧ください:
《防災のプロ実践》太陽光発電+EV+V2Hで停電対策!暮らしが変わったリアル体験
こちらもあわせてご覧ください:
「太陽光発電×電気自動車×V2H」は停電時に本当に役立つのか?防災のプロの視点から見た災害対策
経済効果の試算と回収年数
年間の節約効果
自動車買い替えによる維持費削減: 197,596円
ガソリン代の節約: 39,480円
(それまでセカンドカーとして使用していた別の軽四も使用頻度が減った)
売電+電気料金節約: 105,111円
年間合計: 342,107円
初期投資額との差引(10年間)
次に、10年間での初期投資額の回収率を見てみます。
初期投資総額: 3,980,101円
節約合計:342,107円×10年= 3,421,070円
差額: 559,031円(未回収)
つまり、10年間運用して約56万円が未回収となる計算です。
なお、この10年間という期間は、次の2つの意味で一つの節目になります:
- 電力の固定買取が保証された期間であり、10年を過ぎると買取価格が大きく減額される
- パワーコンディショナーの寿命が10~15年と言われている(太陽光パネルは20~30年)
考慮すべき事項
さて、56万円が未回収となりましたが、実はちょっと考慮しなくてはならないことがあります。
- V2Hは導入してまだ半年。上に述べた電気料金のデータはその半年分しか反映していないので、1年間のデータで見れば経済効果は変動する可能性がある。
- EVは旧車の買い替えであり、必須の支出だったとも言えるため、車両費を除けば初期投資は約200万円。そうすると、5.8年で回収可能な計算になる。
- 電気料金やガソリン代の変動、日照時間の違いなどによって、回収期間は変わる。
つまり、コスト計算は変動する可能性が大いにあるということです。
まとめ:数字には表れない“安心”という価値
太陽光発電、V2H、そしてEVの導入は、経済効果の面だけで見れば10年で完全な回収が難しいケースもあります。
それでも私にとっては、災害時の安心感、自分の力で電力をまかなえる満足感、そして環境負荷を減らすという実感は、金額には換算できない価値がありました。
経済性はもちろん大切ですが、「もしもの備え」や「暮らしの在り方」まで含めて考える方には、太陽光+V2H+EVの導入は検討に値する選択肢だと思います。
気になる方は、まずは無料でできる一括見積もりサービスなどで、ご家庭に合ったプランをシミュレーションしてみてください。
導入コストの目安を知るには、複数社からの見積もりを取ってみるのが一番確実です。
最近は、複数の施工会社から一括で見積もりが取れる無料サービスも増えています。
私も実際に2つの見積もりサイトを試してみましたが、サービスによって扱っている会社の傾向や提案の内容が微妙に異なります。
「どちらが優れている」というより、「自分に合うかどうか」を見てみるのが良いと思います。


よくある質問と回答
Q. 補助金をもらうために何か特別な条件はあるの?
地方自治体や国の補助金にはそれぞれ条件がありますが、多くは「対象設備を設置すること」「販売店を通じた申請」「一定の住宅条件」が必要です。導入前に自治体の制度を確認しましょう。
V2Hって誰でも使えるの?特殊な設備が必要?
V2Hには専用の機器が必要で、接続できるEV(電気自動車)も限られています。導入前に「対応車種」や「工事内容」について業者に確認することが重要です。
太陽光発電だけを導入する場合、どれくらいの費用がかかるの?
一般的な4〜5kWのシステムで、100万円前後(補助金適用前)とされています。モゲラ家の場合の実際の費用も記事内で公開していますので、参考にしてください。
導入して後悔してない??
コスト回収に課題があっても、私は全く後悔していませんね。
私の場合は災害への備えがメインですから。
近年では太陽光発電は投資目的としては経済合理性は低いと言われているので、これは導入の目的によって変わるかもしれません。