最近、地震や風水害、土砂災害のニュースが多くて心配になりますよね。皆さまのお宅では災害への備え、できてますか?
うん、大事だということは想像つくけど、正直めんどくさいし、それに今ひとつその気にならないんだ…
ええ、わかりますとも、その気持ち。そういう人多いです。
確かに、仕事や家事に追われる日々の中で、つい後回しにしてしまうものだよね。
でもそれ、あなたが怠け者だからではありません。
実は、人が防災に本気になれないのには“理由”があります。
はじめに:なぜ人は防災を後回しにしてしまうのか?
災害への備えが進まない原因のひとつが、「正常性バイアス」。
これは、人がストレスから身を守るために、自分にとって都合の悪い情報を無意識に軽く見てしまう心理のことです。
人間は様々な環境変化にその都度過敏に反応していては疲れてしまうので、ある程度の限界までは「正常」と認識するよう、つまり「鈍感」になるよう人間に備わったプログラムなのです。
「うちは大丈夫」「まぁ何とかなるでしょ」 そう思ってしまうのは、ごく自然な心の反応なのです。
だから狭い日本でこれだけの災害が発生していても、それが自分の生活圏ではないと被災者には同情するけれども、一方で「次は自分の地域」とはどうしても受け入れられない心理が働くのです。
でも、災害はいつでもすぐそこに:わが国の最近の災害
ここ10年だけを見ても、日本のどこかで大きな災害が毎年のように起きています。
日付 | 出来事 | 死者 | 行方不明 | 負傷者 |
---|---|---|---|---|
2011/3/11 | 東北地方太平洋沖地震 | 19,729 | 2,559 | 6,233 |
2014/7/30~26 | 平成26年8月豪雨 | 77 | 68 | |
2014/9/27 | 御嶽山噴火 | 58 | 5 | 69 |
2016/4/14 | 熊本地震 | 273 | 2,809 | |
2017/7/5~6 | 平成29年7月九州北部豪雨 | 37 | 5 | 21 |
2018/6/28~7/8 | 平成30年7月豪雨 | 237 | 8 | 432 |
2019/8/26~29 | 令和元年8月の前線に伴う大雨 | 4 | 2 | |
2019/9/5~10 | 令和元年房総半島台風 | 3 | ||
2019/10/11~12 | 令和元年台風19号 | 91 | 3 | 376 |
2020/7/3~31 | 令和2年7月豪雨 | 86 | 2 | 82 |
2021/2/13 | 福島県沖地震 | 1 | 187 | |
2021/7/3 | 熱海市伊豆山地区土砂災害 | 27 | 1 | |
2021/8/11~19 | 令和3年8月の大雨 | 13 | 17 | |
2022/3/16 | 福島県沖地震 | 3 | 248 | |
2024/1/1 | 令和6年能登半島地震 | 241 | 1,299 |
ここには家屋の倒壊や床上浸水などは記載しておりませんが、ほとんど毎年のように日本のどこかで大きな災害が発生していることが分かります。
それに、被災者の中には、帰省中や旅行中に被害に遭った方も少なくありません。 つまり、どこにいても、誰にでも起こり得るのが“災害”なのです。
本当に「次は自分達だ」と思えば「災害の備えはめんどくさい、また今度」とは思わず、直ちに準備を開始するでしょう。
今準備をしていないということは「次は自分達だ」と心から思っていないと考えられます。
想像してみよう──自宅が揺れたら?
私はある自治体の防災課に勤務していたとき、防災センターで「地震体験装置」と「地震体験車」の維持管理+運用に携わっていました。
地震体験装置は地震を体験するための振動台で、都道府県や市町村が設置する「防災センター」に設置されていることが多いです。

また、地震体験車/起震車は、やはり同様に地震を体験するための装置ですが、地域の防災訓練などへ地震体験のデリバリーができるのが特長です。

地震体験装置も、地震体験車/起震車も、どれも自治体が運営する場合は無料で体験できます。
そんな中で、私は体験者には必ずこんな風に問いかけていました。
・今、この揺れが自宅で起きたと想像してみてください
・今日の揺れを、帰宅後もう一度思い出してください。いつか、あの揺れが現実になるかもしれません
これに対し体験者の多くはこう言うのです。
「ウチ、物が多すぎて…多分無理(笑)」
「こんなに揺れたらウチは潰れちゃうね(笑)」
ここで諦めてはいけません。
あなたが守りたい人の顔を、ぜひ思い浮かべてみてほしいのです。

こんな瓦礫の下に閉じ込められたら?と。
では、どこから始める?
やる気スイッチが入らないのは、スタート地点がわからないからかもしれません。
まずはここから始めてみてはいかがでしょうか。
→時間がない人のための時短防災-【防災士厳選】まずは3点揃えてみよう!
→やらないと絶対後悔!だけどやれば効果絶大-地震対策の定番「家具の転倒防止」
→家の倒壊がいちばん怖い。地震への備えは“住まいの安全性”から始まる
今日からでも始められます。
まとめ:備えは、“大切な人を思い浮かべること”から
災害への備えは、あなた自身と、あなたが守りたい人のためのもの。
「防災って難しそう」「まだ大丈夫でしょ」──そんな気持ちを持ってしまうのは自然なことです。 でも、少しだけ想像力を働かせてみてください。
あなたのその一歩が、きっと未来の安心につながります。