防災の基本

防災が面倒だと思う人集まれ!家庭で行う災害への備えはまずここから

どうも!Mogera47です!
自衛隊で15年、防災航空隊で10年、自治体の防災課で2年、と災害対策一筋でやってきた防災士です。

最近、地震や風水害、土砂災害のニュースが多くて心配になりますよね。皆さまのお宅では災害への備え、できてますか?

うん、大事だということは想像つくけど、正直めんどくさいし、それに今ひとつその気にならないんだ…

ええ、わかりますとも、その気持ち。そういう人多いです。

でも、この記事を読み終わる頃にはイヤでも災害への備えをせずにはいられなくなって、取り敢えずやるべきことが大まかにでも見えてきますよ。

結論から言うと、災害への備えは自分だけではなく大切な人を守るため。
そのためには災害が発生したらどうなるか、をリアルに想像することから始まります。
どういうことでしょう。それではどうぞ。

わが国の最近の災害

まずは、最近の災害を振り返ってみましょう。
戦後最も人的被害が甚大だった東日本大震災以降、人的被害を伴った主な災害は次の通りです。

(気象庁、内閣府及び消防庁公表データから再構成)

ここには家屋の倒壊や床上浸水などは記載しておりませんが、ほとんど毎年のように日本のどこかで大きな災害が発生していることが分かりますね。

災害はいつでもすぐそこに

幸運にもこれまで何も起こらなかったあなたの地域でも、いつ何が起こるか分かりません。それに、外出中や旅行先で災害に見舞われることだって十分ありえます。実際、令和6年能登半島地震では、年末年始を故郷で過ごしていた人たちが被災しました。

つまり、災害はいつでもすぐそこにあるのです。全く他人事ではないことが分かりますね。それに今まで災害に見舞われなかったからと言って、これからも自分に無関係、ということではありません。

それでも災害を他人事のように感じてしまう

それでも他人事のように感じてしまうというのは、実は不思議なことではないのです。実は人間には「正常性バイアス」と呼ばれる、自分にとって都合の悪い情報を無意識に過小評価してしまう認知の特性があります。

これは、様々な環境変化にその都度過敏に反応していては疲れてしまうので、ある程度の限界までは「正常」と認識するよう、つまり「鈍感」になるよう人間に備わったプログラムなのです。

そのせいで、例えば、韓国地下鉄放火事件のように、すでに煙が出始めているのに火災(緊急事態)だと認めたくないばかりに逃げ遅れてしまったり、津波警報が発令されているのに「まあ大丈夫でしょう」とのんきに構えて結局逃げ遅れてしまうということにつながるわけです。

だから狭い日本でこれだけの災害が発生していても、それが自分の生活圏ではないと被災者には同情するけれども、一方で「次は自分の地域」とはどうしても受け入れられない心理が働くのです。

本当に「次は自分達だ」と思えば「災害の備えはめんどくさい、また今度」とは思わず、直ちに準備を開始するでしょう。今準備をしていないということは「次は自分達だ」と思っていない何よりの証拠です。

ちょっとだけ私の体験をお話させてください

実は私は県の防災課に勤務していたとき、防災センターで「地震体験装置」と「地震体験車」の維持管理+運用に携わったことがありました。

地震体験装置は地震を体験するための振動台で、都道府県や市町村が設置する「防災センター」に設置されていることが多いです。

地震体験装置の例(富山防災四季彩館

また、地震体験車/起震車は、やはり同様に地震を体験するための装置ですが、地域の防災訓練などへ地震体験のデリバリーができるのが特長です。

地震体験車/起震車の例(イメージ)

地震体験装置も、地震体験車/起震車も、どれも自治体が運営する場合は無料で体験できます。それは自治体にとって住民の防災啓発は重要な使命の一つなので、できるだけたくさんの人々に体験してほしいを思っているからです。

防災の基本は「想像力」

では、こうした地震体験って何のために行うものだと思いますか?つまり、自治体はどうして市民に地震体験をしてもらいたがっているのでしょう。

啓発だよね、つまり、地震に慣れておくためでしょ?

いや、慣れてどうする、それは啓発とは言えないよ
そういうんじゃなくてね…

地震体験の本当の目的は、揺れを体感することで自分の住まいがこれくらい揺れたらどうなるかを想像してもらうことなのです。防災の基本は「想像力」です。

だから私は体験者に対し、地震体験に際してはいつも次の2つのことを声がけをしてきました。

  1. 地震体験中に、今自分は自宅にいて家が揺れていると想像してください
  2. 家に帰った後、今日の揺れをもう一度想像してください。いつかこれくらい揺れる日が来ます

そうすれば、地震が起こったときに家の中がどうなるか、そして備えがちゃんとできているかどうかが、自然に想像できるからです。

そうして震度6強とか7などの地震体験が終わった後に

いかがでしたか?お住まいの地震対策は十分でしょうか、すぐにでも対策を進めてくださいね

とお願いすると、多くの人々は「すごかった、これはちゃんとやっとかないと危ないかも」と言ってくれる方は多いですが、その一方で、こんな返答をする人も意外に多いのです:

  • あんなに揺れたら多分家ごと潰れちゃうね(笑)
  • ウチはめちゃくちゃ物が多いからもうどうしようもないわ(笑)

正直、(えー!諦めちゃうの?)と思ったのですが、そこで終わりません。
お子さんを連れているお父さんお母さん、あるいはお孫さんがいるような年輩の方にこう↓いうと、顔色が変わるのです。

もし、地震でお子さん(お孫さん)が家具や家屋の下敷きになっちゃったら、「仕方ない」と諦めますか?

少々刺激は強いかも知れませんが、真剣に向き合うべき問題なので、敢えて伺っておりました。皆さまはいかがでしょうか。

自分が苦しい思いをするのは覚悟ができても、大事な大事なお子さんやお孫さんがそういう目に遭うと想像すれば、考え方が変わりませんか。

地震だけではありません。

冒頭で申し上げた通り、風水害や土砂災害などなど、わが国にはありとあらゆる災害が次々にやってきます。

毎年毎年、どこかで誰かが犠牲になっています。
それがあなたの大切な人だったら?
それに人的被害がなくても、大事な家屋に被害が発生します。

「防災」といっても「災害の発生」自体を防ぐことは不可能ですし、全ての災害、それも超がつくほどの大災害に完璧に耐えるような対策も不可能です。けれども、愛する家族のためにできるだけのことをしておくのは、決して無駄なことではないと思いますよ!

まとめ

長くなったので、ここでまとめます。

  • わが国では毎年どこかで何らかの災害が発生
  • 災害に備えるには「想像力」が重要
  • 他人事と思わず、諦めず、自分の大切な人を守るために災害の備えをしましょう

次からは、災害に対する具体的な備えについてお話します。

ABOUT ME
もげら47
自衛隊で大型輸送ヘリの機長として15年勤務。その間、震災や林野火災など数多くの災害派遣に出動。その後消防防災航空隊に転職し、消防防災ヘリの機長として、10年以上にわたり山岳救助、空中消火活動などに従事。 次いで2年間地方自治体の防災課で防災関連の事務事業を推進するなど、防災一筋の人生。 現在はこうした経験を活かし、防災士ブロガーとして防災関連の情報を発信しています。 【保有資格】 ・防災士 ・事業用操縦士(回転翼機+飛行機) ・航空無線通信士 ・乙種第4類危険物取扱者 ・他
RELATED POST