「ウチは何やっても潰れるから、地震対策なんか仕方ないよ」──そう諦めていませんか?
でも、もしその“仕方ない”の先にあるのが、あなたや家族が圧死する光景だとしたら?
正直、私は本書を読んで衝撃を受けました。
「これは全国民が読むべき一冊だ」と、本気で思ったのです。
『震度7 何が生死を分けたのか』は、阪神・淡路大震災で亡くなった5036人の検案書をもとに、何が命を分けたのかを科学的に検証したNHK取材班による渾身のドキュメンタリー。
この記事では、本書の核心とともに、「地震に強い家」の重要性や、今日からできる具体的な備えについて、専門家視点でお伝えします。
![]() | 震度7 何が生死を分けたのか【電子書籍】[ NHKスペシャル取材班 ] 価格:1573円 |

書籍情報
- タイトル:震度7 何が生死を分けたのか―埋もれたデータ21年目の真実
- 著者:NHKスペシャル取材班
- 出版社・出版年:ベストセラーズ、2016年11月
- ISBN:978-4584137475
読みどころ・特徴
本書は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で死亡した5036人の検案書を基に、データビジュアライゼーションという特殊な技術を用いて、犠牲者の空間・時間的な分布を可視化し、新たな知見を得るドキュメンタリーです。
筆致はNHKスペシャルそのものの、冷静で客観的な雰囲気であり、適度な緊張感が漂います。
読んで印象的だったポイント
・自宅全壊により、最初の1時間で3842人が死亡。これは地震当日の死亡者の内の76%に当たる。
・「圧迫死」は「圧死」と「窒息死」に分類される。圧死とは重量物などで体全体が押し潰され前身骨折や内臓破裂などを伴って死ぬこと。なので即死。圧死は1時間以内の圧迫死全体の内わずか8%。
どんな人におすすめか
- 地震への備えに漠然とした不安がある人
- 「自分の家は大丈夫だろう」と思っている人
- 逆に「自分の家はどうせ潰れちゃうから」と笑い飛ばしてしまっている人
- 家具固定などの地震対策を後回しにしている人
- 災害時、行政対応に依存してしまいがちな人
…そんな方にこそ、ぜひ読んでほしいです。
本書は「備え」の重要性をデータと事例で突きつけてくる、いわば“防災リテラシー”の棚卸しをさせてくれる一冊です。
この本から学んだこと・考えたこと
地震で命を落とす最大の要因は“建物倒壊”
検案書の分析により、最初の1時間で3,842人(死亡者の76%)が命を落としたことが判明。その多くが自宅の倒壊によるものでした。
即死となる「圧死」は全体のわずか8%に過ぎず、61%は「窒息死」――つまり、倒壊した家具や建物に胸を押さえつけられ、呼吸ができなくなって亡くなるケースが多数を占めます。
声を出せたかもしれない、助かる可能性もあった。だからこそ、事前の耐震化や家具の固定が何よりも大切だと再認識しました。
家具の転倒が命を奪う現実
地震によって160cmの本棚がが倒れ、就寝中だった小学4年生の少年の頭に頭に直撃し、命を落としたという事例が紹介されています。
家具の配置や固定は“親の責任”であり、それを怠った代償はあまりにも大きい――読んでいて胸が痛くなりました。
大事な子どもの命を奪うことになれば、悔やんでも悔やみきれません。地震対策は待ったなしです。
通電火災と感震ブレーカー
地震後に起こる「通電火災」も見過ごせません。「通電火災」とは、停電が復旧した後に発生する火災です。例えば、倒れた電気ストーブやアイロンなどが、可燃物に触れて過熱し火災に至るというものです。
この通電火災という言葉も概念も、阪神・淡路大震災から生まれました。
この通電火災を予防するために感震ブレーカー(揺れを検知して自動で作動する回路遮断器)が開発されたのですが、その有効性は以前から知られていながら、いまだに普及が進んでいないのが現状です。
「渋滞が命を奪う」こともある
発災後、家族の安否確認のために車で移動しようとする人々が一斉に道路に出た結果、大渋滞が発生。緊急車両も身動きが取れなくなりました。
首都直下地震が発生すれば首都直下地震の場合は帰宅困難者が車道を歩行することによって渋滞が激化することが示唆されています。
「救助が間に合わない現実」を直視する
実際に救助活動に従事した元消防士の体験談も印象的です。大変過酷な状況で究極の選択を迫られる場面が多く、考えさせられます。現場では「人殺し」と罵られることさえあったといいます。それに対して、その消防士は「土下座して謝った」と。
現場には「助けたいけれど、助けられない」瞬間が確かに存在します。だからこそ、“自助”の大切さを何度でも伝えたいと改めて感じました。
5. 印象に残った一文
「私たちは知ったつもりになっていたのではないか」
まさに、自分自身に向けられたような問いかけでした。
防災講話を行っていた過去の自分にとって、耳が痛いけれども大切な言葉です。
まとめ:この本が教えてくれること
本書は、阪神・淡路大震災を冷静に検証しながらも、「地震対策は他人事ではない」という現実を突きつけてきます。
読後強く思ったのは、とにかく地震で生き残ること、怪我をしないための次のような努力を怠らないということ。
- 地震に強い家を建てる、または強くする、または引っ越す
- 家具を固定する
- 電気火災に備える
30年という年月が経っても、当時とほぼ同じような危険は、今も日本全国に存在します。
「今の備えで、本当に自分や家族を守れるのか」――この問いに、逃げずに向き合うための一冊です。
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