防災本の紹介

【防災本レビュー】「避難所に行かない防災の教科書」 読む人を選ぶかもだけど実用性はピカイチ

防災の備えを見直したいと考えたとき、私たちが手に取るのは「信頼できる実例」と「今すぐ役立つノウハウ」が詰まった本。
今回は、西野弘章さんによる『避難所に行かない防災の教科書』をご紹介します。

避難所に行かない防災の教科書【電子書籍】[ 西野弘章 ]

価格:1760円
(2025/5/30 11:30時点)
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まずお伝えしておきたいのは、この本――読む人によって評価が分かれる可能性があるということ。
というのも、実用性は非常に高い反面、読みやすさや構成面ではちょっとクセがあるからです。

そんな本作ですが、「細かい説明よりも、とにかく今すぐ役立つ情報が欲しい!」という方には、まさにうってつけ。
それでは、気になる中身を見ていきましょう。

被災経験者による「本気の在宅防災ノウハウ」

著者の西野さんは、2019年の台風19号で被災を経験した千葉県在住の方。
普段から防災意識が高く、風水害に強い家づくりを進めていたおかげで、周囲とは異なり大きな被害を免れたそうです。

本書では、その経験に基づいて、在宅避難を前提とした備え方や、災害後に役立つアイテム、そして「どんな行動が命を守るか」が語られています。

特に印象的だったのは、「修理にかかる費用を思えば、最初から壊れない家に投資すべき」という姿勢。
これは、防災の基本である“備えの本質”を突いていると感じ、膝を打つ思いでした。

写真・イラスト満載。でもちょっと読みにくい…?

この本、ページをめくると写真やイラストがとても豊富です。
屋根の補修や雨漏り対策、発電機やロケットストーブの活用など、ビジュアルで伝えようという工夫が満載です。

ただし……挿絵がやや不自然なCGだったり、説明が唐突だったりして、少し読みにくさを感じる場面も。
情報は詰まっているのに、脈絡が見えにくい箇所もあり、「実用的なのに、なぜか頭に入ってこない」という惜しい印象が残ります。

それでも拾える“使える情報”の数々

そうはいうものの、もちろん役立つ知識もしっかりとあります。
個人的に「これは真似したい」と思ったのは、以下のようなポイント。

  • ロケットストーブは自作可能。1家に1台あると便利
  • 給水所から水を運ぶときは、ポリタンクより“リュック+ゴミ袋”がラク
  • 災害時に頼れる無料Wi-Fi「00000JAPAN」の存在
  • SNSの情報はデマが多い。根拠ある公式サイトから得ることが大事
  • 帰宅困難者問題と、企業に義務づけられた備蓄の現実

こうした情報は、自分の防災計画に取り入れて損はありません。

感情移入はしにくいが、実用本として割り切ればアリ

全体を通して感じたのは、「読み物」や「教養書」として楽しむ本ではなく、
必要なところだけ引き抜いて使うツール集”のような一冊だということ。

文章や構成に対してはやや不満も残りましたが、
本書が伝えたい「防災のリアル」と「備えの具体例」には、確かに価値があります。

まとめ|向き・不向きはあるが、実用性は確か

『避難所に行かない防災の教科書』は、
読みやすさには少しクセがありますが、「実用性がすべて!」という方なら、きっと価値を感じる一冊です。

逆に、読み物としてのスムーズさや丁寧な説明を重視する方には、ちょっとハードルが高いかもしれません。

とはいえ、在宅避難を前提とした備えを考えるうえで、
具体的な実例とノウハウがまとまったこの本は、間違いなく一読の価値ありです。

モゲラの評価:
おすすめ度:★★★★☆
実 用 性:★★★★★
読みやすさ:★★☆☆☆

避難所に行かない防災の教科書【電子書籍】[ 西野弘章 ]

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ABOUT ME
もげら47
自衛隊で大型輸送ヘリの機長として15年勤務。その間、震災や林野火災など数多くの災害派遣に出動。その後消防防災航空隊に転職し、消防防災ヘリの機長として、10年以上にわたり山岳救助、空中消火活動などに従事。 次いで2年間地方自治体の防災課で防災関連の事務事業を推進するなど、防災一筋の人生。 現在はこうした経験を活かし、防災士ブロガーとして防災関連の情報を発信しています。 【保有資格】 ・防災士 ・事業用操縦士(回転翼機+飛行機) ・航空無線通信士 ・乙種第4類危険物取扱者 ・他
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