防災の備えを見直したいと考えたとき、私たちが手に取るのは「信頼できる実例」と「今すぐ役立つノウハウ」が詰まった本。
今回は、西野弘章さんによる『避難所に行かない防災の教科書』をご紹介します。
![]() | 価格:1760円 |

まずお伝えしておきたいのは、この本――読む人によって評価が分かれる可能性があるということ。
というのも、実用性は非常に高い反面、読みやすさや構成面ではちょっとクセがあるからです。
そんな本作ですが、「細かい説明よりも、とにかく今すぐ役立つ情報が欲しい!」という方には、まさにうってつけ。
それでは、気になる中身を見ていきましょう。
被災経験者による「本気の在宅防災ノウハウ」
著者の西野さんは、2019年の台風19号で被災を経験した千葉県在住の方。
普段から防災意識が高く、風水害に強い家づくりを進めていたおかげで、周囲とは異なり大きな被害を免れたそうです。
本書では、その経験に基づいて、在宅避難を前提とした備え方や、災害後に役立つアイテム、そして「どんな行動が命を守るか」が語られています。
特に印象的だったのは、「修理にかかる費用を思えば、最初から壊れない家に投資すべき」という姿勢。
これは、防災の基本である“備えの本質”を突いていると感じ、膝を打つ思いでした。
写真・イラスト満載。でもちょっと読みにくい…?
この本、ページをめくると写真やイラストがとても豊富です。
屋根の補修や雨漏り対策、発電機やロケットストーブの活用など、ビジュアルで伝えようという工夫が満載です。
ただし……挿絵がやや不自然なCGだったり、説明が唐突だったりして、少し読みにくさを感じる場面も。
情報は詰まっているのに、脈絡が見えにくい箇所もあり、「実用的なのに、なぜか頭に入ってこない」という惜しい印象が残ります。
それでも拾える“使える情報”の数々
そうはいうものの、もちろん役立つ知識もしっかりとあります。
個人的に「これは真似したい」と思ったのは、以下のようなポイント。
- ロケットストーブは自作可能。1家に1台あると便利
- 給水所から水を運ぶときは、ポリタンクより“リュック+ゴミ袋”がラク
- 災害時に頼れる無料Wi-Fi「00000JAPAN」の存在
- SNSの情報はデマが多い。根拠ある公式サイトから得ることが大事
- 帰宅困難者問題と、企業に義務づけられた備蓄の現実
こうした情報は、自分の防災計画に取り入れて損はありません。
感情移入はしにくいが、実用本として割り切ればアリ
全体を通して感じたのは、「読み物」や「教養書」として楽しむ本ではなく、
“必要なところだけ引き抜いて使うツール集”のような一冊だということ。
文章や構成に対してはやや不満も残りましたが、
本書が伝えたい「防災のリアル」と「備えの具体例」には、確かに価値があります。
まとめ|向き・不向きはあるが、実用性は確か
『避難所に行かない防災の教科書』は、
読みやすさには少しクセがありますが、「実用性がすべて!」という方なら、きっと価値を感じる一冊です。
逆に、読み物としてのスムーズさや丁寧な説明を重視する方には、ちょっとハードルが高いかもしれません。
とはいえ、在宅避難を前提とした備えを考えるうえで、
具体的な実例とノウハウがまとまったこの本は、間違いなく一読の価値ありです。
モゲラの評価:
おすすめ度:★★★★☆
実 用 性:★★★★★
読みやすさ:★★☆☆☆
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