ね、もし今地震が来たらどうする?
そうやって想像してみるの、とっても良いことだと思うよ!
普段からそういうクセをつけておくことで…
いや、本当にわかんないんだけど?
OKですよ、疑問に持つのは良いことです。
では今日はそんな人に向けて、地震が来たときの対応について解説します。
はじめに
地震は前触れなく突然やってきます。
普段から「今ここで地震が来たら…」とシミュレーションするクセをつけておけば、いざというときに慌てることなくとっさに命を守る行動が取れます。
この記事では、主に家の中にいるときに地震に見舞われた場合を想定し、場所に応じて取るべき行動と、発生から時系列に沿った行動について解説します。
地震発生!その瞬間の対応
一日のうちの多くの時間を過ごす自宅。
その自宅で地震が発生した瞬間、家の中でも場所によって取るべき行動は変わってきます。一つずつ見ていきましょう。
リビングで地震!
家屋倒壊の危険性によって対応は異なります。
家屋の耐震基準については、こちらをご覧ください:
▶️家の倒壊がいちばん怖い。地震への備えは“住まいの安全性”から始まる
耐震性の低い家屋の場合(旧耐震基準)
例えば1981年以前に建設された家屋だと、家屋の倒壊に最も警戒しなくてはなりません。
特に古い二階建ての建物の1階にいる場合、可能であれば、緊急地震速報を聞いたり、揺れの小さい内にすぐに屋外に脱出することが望ましいです。
「瓦とかが落ちてくるから慌てて飛び出すな」って聞いたけど?
建物に潰される危険を回避するほうが優先度が高いと言えます。
あと、まず初めに「机の下に隠れる」って教わってきたよ。
はい、たしかに転倒する家具や、落下物から頭を守ることはできるので正解です。しかしもし家屋が倒壊するくらいの地震だったら、机の下に入っても机ごと潰されてしまいます。
首相官邸や消防庁は机の下に隠れることを勧めています。
▶️地震では、どのような 災害が起こるのか(首相官邸)
▶️消防庁 防災マニュアル -震災対策啓発資料-
ただし、最近は様々な意見があります。例えばこちらが参考になります:
▶️地震発生時の心得と退避行動(防災システム研究所)
耐震性の確保された家屋の場合(新耐震基準以降)
1981年6月以降に建築確認を受けた家屋であれば、直ちに倒壊するおそれは低いと言えます。
そういう場合は、基本的には頑丈な机やテーブルの下に隠れましょう。隠れるものがなければ、座布団でもカバンでも何でも良いから頭を守り、体を小さく、姿勢を低くしてやり過ごします。

揺れが大きいようだったら隠れるよ
それじゃだめ。
地震が始まってから、この後どれくらい揺れるかかなんて予測できないよ。
特に、震度6弱を超えると揺れに翻弄されて身動きが取れなくなっちゃうから、揺れが小さくて動ける内に命を守る行動を取ろうね!
キッチンで地震!
キッチンは、刃物、火、熱湯など危険がいっぱい。地震を感じたらすぐにキッチンから脱出してください。
落下で割れた食器で怪我をすると、その後の避難行動に著しく支障をきたします。
また、冷蔵庫が倒れてきて脱出経路を塞いでしまうかもしれません。
かつては「まず火を消す」が常識でしたが今は違います。震度5相当の震度を検知するとガスメーターが自動でガス供給を停止するので、無理して火を消すよりまず自分の身を守ることを優先しましょう。

揺れている最中に無理して火を消そうと手を伸ばした途端に、ガスコンロにかけている鍋ややかんがひっくり返って火傷の危険があります。
なので、まずはキッチンから脱出してテーブルや机の下に隠れましょう。
入浴中に地震!
入浴中は裸なのでとても無防備です。洗面器や風呂の蓋で身を守りましょう。建物が歪んで扉が開かなくなる前に、扉を開放します。
鏡が割れてガラスの破片が飛び散ることがあります。そんなときは風呂の蓋を床に敷いて避難路を確保してください。

もしお風呂に閉じ込められたら、裸のままなので季節によっては低体温症の危険もあります。
お風呂で温まればいいじゃない
停電したりガスが止まるかも知れないよ
どうしようもなくなったら、ドアを破壊してでも脱出してね
ただし、くれぐれも怪我をしないように
トイレで地震!
トイレの中は比較的安全と言われることが多いのですが、こちらもドアが開かなくなると大変です。「その」最中でも速やかにドアを開放しましょう。
また、ドアの前に荷物や段ボール箱などを置いたままにしておくと、地震の揺れで倒れてきてドアが開かなくなることもあるため、トイレの前に物を集積しないようにしておくことも大事です。
寝室で就寝中に地震!
就寝中は「意識不明」で最も無防備ですから、実は一番危険な状況と言えます。
大前提として寝室には背の高い家具を持ち込んではいけません。

どうしても家具を置く場合でも、背の低い安定したものに限定しましょう。
そして、就寝中に地震を感じたら、うつ伏せになって布団と枕で体と頭をを守ってください。
更に、停電で真っ暗になってしまうこともあるので、枕元にライトを準備しておきます。なければスマホのライト機能を利用するのも良いですが、災害後はスマホの電池をセーブしたいでしょうから、できればライトは別に準備しておくことをお勧めします。

寝室の地震対策、「寝室防災」についてはこちらの記事をご覧ください:
▶️実は危険がいっぱい!?地震対策はまず寝室から
地震発生後の対応
発生直後から5分以内の対応
初動対処
揺れが収まったら、火の始末をします。
もし出火していたら火が小さい内に初期消火します。消火活動は、脱出経路を確保するため必ず出口を背にして行うのが鉄則です。

また、炎が天井に届くようであれば初期消火の限界を超えたサイン。
それ以上は無理をせず、速やかに脱出しなくてはなりません。
津波に警戒!
海沿いの地域は、テレビやラジオで津波情報を収集しましょう。津波の恐れがある場合は速やかに高台に避難します。
地震のあとは停電やネットが不通になることがあるため、携帯ラジオを準備しておくとよいです。ラジオは非常持出袋に入れておくことをお勧めします。
災害発生時の情報収集については、次の記事を参考にしてください。
災害発生後の情報収集は何を信じれば良い?デマに惑わされず冷静に行動する方法とは
地震発生から5~10分後の対応
家屋のダメージチェック
最初の地震で家屋が倒壊しなかったとしても、もし家が歪んでいたりひびが入っていたりすれば家内に滞在するのは大変危険です。なぜならその状態では本来の耐震性能が損なわれ、2回目以降の地震には耐えられない恐れがあるからです。そして大きな地震の後は、しばしば余震が続くものです。
実際、2016年の熊本地震では、震度7を2回、震度6強を2回、震度6弱を3回、震度5強を4回、震度5弱を8回観測するなど、これでもかこれでもかと繰り返し地震が発生しました。
結果、比較的築年数の新しい家屋でも、1回目の地震で大丈夫だったのに、2回目以降の揺れには耐えられず倒壊した例が数多く報告されています。

したがって、家屋のダメージチェックで異常が発見された場合、速やかに避難を開始します。
あわせて読みたい:
▶️もう迷わない!避難に最適な非常用持ち出し袋はこう備えよう
地震発生から10分~半日後の対応
隣近所の安否確認と助け合い
隣近所で家屋が倒壊して生き埋めになっている人がいないか、火災が発生していないか、声を掛け合って確認しましょう。そうした被害を発見した場合は協力して救出救護します。特に、災害時要配慮者(高齢者、障害者、難病患者、乳幼児、妊産婦、外国人など)がいる家庭には積極的に声掛けをします。
大きな地震が発生すれば、消防も警察も一斉に救助要請が殺到するし、道路が無事とは限らないため、自分達で何とかしなくてはならなくなると思っておいたほうが良いです。そこで重要になるのが隣近所の助け合い、「共助」です。
地震発生から半日~数日後の対応
幸いにして家屋にダメージがなければそのまま居住し続けますが、大きな地震の後は電気、水道などのライフラインを始め食料の流通が途絶えるため、最低でも3~4日程度は自宅にある食料、飲料水でしのぎます。
そのためには備蓄が必要です。隣近所で食材を持ち寄って炊き出しをするのも良いでしょう。
備蓄については、こちらをご覧ください:
▶️その備蓄で大丈夫?今すぐ始めるべき正しい災害備蓄の方法
▶️知らなきゃ損!災害に備えた水の備蓄量はどれくらい?
避難
家屋に異常が発見されるなど、生活できないと判断された場合は避難することになります。
避難時は、停電が解消し電力が復帰した際に発生する「通電火災」を予防するため、必ずブレーカーをOFFにしておきます。
あわせて読みたい:
▶️避難所の生活 〜現実を知り、安心して過ごすために〜
▶️もう迷わない!避難に最適な非常用持出袋はこう備えよう
まとめ
ここでは、在宅中の地震発生時の対応を解説してきました。
ただ、最も大切なことは、家屋倒壊に対する根本的な対策を取ることと、家具を固定しておくことです。この地震発生時の対応は、それらの備えをきっちり行ったことが前提です。
地震はいつ来てもおかしくありません。発生することを前提に備えを進めておくことが大事です。
あわせて読みたい:
▶️家の倒壊がいちばん怖い。地震への備えは“住まいの安全性”から始まる
▶️実は危険がいっぱい!?地震対策はまず寝室から
▶️外出時の地震対策!ケース別に学ぶ生き残るための安全行動